和紙で広がる表現の世界 ―特性と選び方―

和紙で広がる表現の世界 ―特性と選び方―

アーティストにとって「紙」は、アイデアを練りスケッチするエスキースから、作品の基底材に至るまで、創作活動に欠かせない存在です。

水彩紙やケント紙、版画用紙といった画材用紙に加え、日本には独自の美意識と技術が息づく「和紙」があります。その豊かな表現力は、国内外のアーティストから注目されています。

また、同じ原材料でも産地、製法によって多彩な表情を見せ、まさに“漉き手の数だけ紙がある”と言われるほどの奥深さを持っています。

本記事では、PIGMENT TOKYOで取り扱っている和紙の魅力や特性、用途に合わせた選び方について特集します。

 

 目次

紙と和紙の歴史
和紙の基本的な特性と保存性
和紙の原料
抄紙/手漉き和紙の作り方
紙の用語:単位・サイズ
和紙の選び方:種類と各特徴

 

紙と和紙の歴史

 

紙の起源は、古代エジプトで作られていたパピルス紙にあるとされています。この papyrus(パピルス)という言葉は、英語で「紙」を意味する paper(ペーパー)の語源にもなっています。

ただし、当時の製法は現在の製紙技術とは大きく異なり、水草の一種であるパピルスの茎を縦横に並べて圧着したものでした。このほかにも、世界各地で文字を書くための書写材料として、木や竹、葉、動物の皮などが用いられてきました。

現在の形に近い紙は、紀元前2世紀ごろの中国で製造されたものが発見されています。当時の原料には、麻布、使い古した布、魚網、樹皮などが使われていたことが、古代中国・漢王朝の歴史書『後漢書*』の「蔡倫伝*」に記述されています。


このような歴史的背景を踏まえ、日本の紙のルーツは、大陸から伝わった製紙技術にあると考えられています。初期は、麻のボロ布を原料とし使用されていましたが、その後、日本独自の素材や工夫が加えられ、次第にカジノキや、その仲間である「楮(こうぞ)」などの樹皮が使われるようになりました。


*蔡倫(さいりん)...後漢の技術職、宦官。製紙技術の発展に大きく貢献したと言われている。
*後漢書...漢王朝後期の「後漢(東漢)」(25年〜220年)の本紀や列伝を記録した正史。

 

 

 

和紙の基本的な特性と保存性

 

種類により差異はありますが、和紙の基本的な特性と保存性についてご説明します。


特性:紙面が均一、滑らか

色味:生成色(淡いベージュ)や自然な白色

pH:中性〜弱アルカリ性

保存性:長期保存性に適している、酸化しにくい

吸湿性:高い

 

*pH(ペーハー)...水素イオン指数。酸性・中性・アルカリ性を表す尺度。

 

文字の発展とともに、世界各地でさまざまな種類の紙が生まれました。そのなかでも和紙は、薄さと強度を兼ね備え、保存性に優れていることが最大の特徴です。その理由は、使用される原材料や抄紙*法にあります。

和紙に使われる原料は、洋紙で使われるパルプに比べて繊維が長く、変色や変質が起こりにくいという性質を備えています。

また、原料の繊維を柔らかくする「煮熟*」という工程では、原料を中性から弱アルカリ性の環境下で時間をかけて処理することで、紙が酸化や劣化しにくくなります。

このような処理方法が、和紙の高い保存性を支えています。


さらに、和紙には湿気を吸収・放出する性質もあり、乾湿の差が大きい日本の気候に適しています。そのため、和紙は書画の基底材としてだけでなく、古くから障子や襖(ふすま)といった建具にも使用されてきました。

 

*煮熟(しゃじゅく)...原料の繊維を木灰やアルカリ性の薬剤(ソーダ灰など)を加えたお湯で煮る工程。繊維を柔らかくし、不純物を除去しやすくするために行う。
*抄紙(しょうし)...紙を漉(す)いてつくる工程や技術。

 

 

 

和紙の原料

 

伝統的な和紙の抄紙法では、主に楮、三椏、雁皮といった植物の靭皮繊維(じんぴせんい)を使用します。靭皮繊維とは、茎の木質部の外側にある、靱皮部から採取される繊維質です。

いずれも、他の紙原料に比べて繊維が長く強いため、和紙の特性である薄くて強い紙を作るのに適しています。

また、紙の種類や用途により、麻や竹、桑の繊維も使用します。近代では、楮に木材パルプを混ぜた用紙も作られています。

 

 

 

抄紙/手漉き和紙の作り方

 

紙の種類や産地により工程が異なりますが、一般的な楮紙の抄紙工程に基づいてご説明します。


和紙原料の下準備

楮は、収穫後に蒸したのち、天日干しで乾燥させた状態で保管されます。

紙を漉く際には、黒皮(外側の樹皮)や青皮を剥ぎ、一昼夜ほど水に漬けた後、アルカリ液で煮熟します。煮熟は、繊維を柔らかくするだけでなく、色素や不要な成分を除去しやすくするための重要な工程です。

煮た原料は、何度か流水に晒して洗浄し、残っている黒皮や節などのチリ(不純物)を丁寧に取り除きます。

その後、原料を叩解*して繊維を細かくほぐすことで、ようやく紙料として使用できる状態になります。


*叩解(こうかい)..打解(だかい)とも呼ばれ、石や木の板の上で木槌で叩き、繊維を細かくする工程。現在では、ビーター(叩解機)や動力の臼が使われていることが一般的。

 

 

紙の漉き方

紙漉きには「流し漉き」と「溜め漉き」と呼ばれる漉き方があり、原料や用途により漉き方は変わります。


◾️流し漉き製法

現在抄紙されている多くの和紙は、流し漉き製法によります。その特長は、漉き方とネリ*(粘剤)を使うことです。

紙料を簀桁*(すけた)という用具ですくい、縦、横に揺らしながら薄く均一に広げる作業を繰り返して紙を作る、日本ならではの伝統的な方法です。

※漉き方は紙の種類や産地により、差異があります。


*簀桁...手漉き和紙の道具。竹ひごと萱(かや)ひごを強じんな生糸で編まれた「簀(す)」と、ヒノキ材の「桁(けた)」を用いる。
*ネリ...地域によって呼称が異なることもある。

 

<ネリの効果>

ネリとは、トロロアオイの根やノリウツギの樹皮などから抽出した植物性の粘液(抄紙用粘剤)で、和紙づくりに欠かせない材料です。

漉き舟(すきふね)に、水と紙料、ネリを加えてよく撹拌(かくはん)すると、ネリのぬめりが繊維を包み、繊維は絡み合うことなく分散します。その結果、紙がムラなくきれいに漉けるようになります。

また、水に適度なとろみがつき、繊維が水中に長く漂うことができます。

 

 

◾️溜め漉き製法

古くから伝わる製法で、流し漉きとの大きな違いは「ネリ」を使わない点です。

(※紙の種類により、溜め漉きの和紙にネリを入れることもあります。)


繊維を十分に叩解して細かくなった原料を使い、水の中で自然に分散させることで、1回の漉き込みで紙の地を作ります。

漉いた後は、簀桁を動かさずに水分が自然に抜けるのを待ち、紙料が安定することで、重厚感のある美しい紙になります。

日本以外で抄紙されている多くの手漉き紙では、溜め漉きが主流です。

 

 

 

紙の用語:単位・サイズ

 

日本では、紙のサイズや重さを表す独自の単位が使われています。ここでは、PIGMENT TOKYOで取り扱う紙の主な単位表記や日本独自のサイズについてご説明します。

紙を漉く道具のサイズが産地により異なるため、バリエーションがあります。和紙をご購入の際は、商品ページで寸法をご確認ください。

 

紙の単位と用語

PIGMENT TOKYOの商品ページに記載されている単位と用語です。ご購入の際にご参照ください。

 

 


 

和紙の選び方:種類と各特徴

PIGMENT TOKYOで取り扱っている紙をご紹介します。

※商品により、厚さや重さの表記が異なります。

※最新の商品情報と詳細は、各商品ページにてご確認ください。(掲載している商品情報:2025年9月1日現在)


こちらの記事でも各紙の特徴を図式でまとめていますので、併せてご参照ください。

 



楮紙

楮紙は、「紙の色」や「にじみ止め(ドーサ引き)加工の有無」によって、いくつかの種類に分かれます。

それぞれの特性を組み合わせた商品がありますので、用途やお好みに合わせてお選びください。


紙の色 (未晒/晒)

 

◾️未晒(みざらし)

原料の色味を感じる生成り色です。

楮の素材感や、自然な風合いを求める場合に向いています。

※「手漉き楮紙 未晒色 生」「手漉き楮紙 未晒色 ドーサ」は、一度漂白した原料に染料にて着色を施しています。


◾️晒(さらし)

漂白処理がされており、明るい白色です。

紙面の光の反射が良く、色の再現性が高いので、色彩を基調とした作品や印刷に向いています。


漂白方法には、以下の2種類があります。

・自然漂白...太陽光、流水、雪など自然の力を用いた漂白。自然な白色が特徴。

・薬品漂白...塩素などの薬品を使用した漂白方法。明度の高い鮮やかな白色。

※ 漂白方法は製品により異なります。

 


にじみ止め(ドーサ引き加工)

 

和紙をにじみ止め加工の有無で分けると、加工が施されていない「生(なま)」と、「ドーサ引き」と呼ばれる加工が施されたものがあります。

※紙の種類別一覧表における「ドーサ」の表記について

にじみ止め加工(ドーサ引き)の有無は、以下のように記号で表しています。

 ドーサ ⚪︎:にじみ止め加工あり(ドーサ引き加工済み)

 ドーサ ×:にじみ止め加工なし(生の和紙)

 

◾️生(にじみ止め加工無し)

にじみ止めの加工をしていないため、紙本来の風合いや質感がそのまま生かされます。

絵具や墨が大きくにじんだり、広がりのあるぼかし表現ができるのが特徴です。

ご自身でドーサの効きをお好みで調整したい方や、紙の繊維感を生かした溌墨*(はつぼく)のような、大胆で動きのある表現をしたい場合に最適です。


*溌墨(はつぼく)...墨を紙や布の上に勢いよく落としたり、はねかけたりしてできる、偶然性を活かした表現技法。主に東洋画(特に水墨画)で用いられる。



 

こちらの記事では、ドーサ処理の有無によってインクや水彩絵具の広がり方に違いが出る様子をご覧いただけます。

 

 

 

◾️ドーサ引き(にじみ止め加工済み)

あらかじめ適度なにじみ止め加工が施されているので、ドーサの手間を省きたい方や、初めて基底材に和紙を使う方にもおすすめです。

ドーサ引きされた紙は、絵具やインクがにじみにくくなるだけでなく、顔料の定着性が高まるという利点があります。にじみを抑えた表現や、描画用の基底材にも使用できます。

 

 

 

なお、ご自身でドーサを引く場合は、紙の厚さや表現方法、使用する色材に応じてドーサ液の濃度や塗布回数を調整する必要があります。
ドーサ引きについては、こちらの記事をご参照ください。

 

 

 

 

 



【11月15日限定開催】紙漉きワークショップ in PIGMENT TOKYO

 

PIGMENT TOKYOは10周年を記念し、徳島の老舗和紙メーカー「アワガミファクトリー」との特別ワークショップを開催いたします。

当日は、アワガミファクトリーのスタッフより、和紙の歴史や素材、製造工程について学び、その後、実際にハガキサイズの紙漉きを体験していただけます。

通常は徳島の工房でしか味わえない紙づくりのプロセスを、レクチャーと実践を通して自らの手でなぞることができる貴重な機会です。

作品制作における素材としての「紙」を深く理解し、触れ、その生成に関わることで、表現の幅を広げるヒントがきっと見つかるはずです。学びと発見に満ちた時間をぜひご体感ください。

 

[10周年記念]アワガミファクトリー 紙を知る /紙を漉く

 

開催日程 2025年11月15日 (土)

場所   PIGMENT TOKYO

時間   11:00-17:00 各回45分/全5回

                   11:00 –11:45 12:00 –13:00 14:15 –15:00 15:15 –16:00 16:15 –17:00

受講料  ¥3,960(税込・材料費込)

対象年齢 高校生以上

対応言語 日本語・英語

ご予約  ワークショップ–特別講座

 ※その他詳細については、予約ページも併せてご確認ください。

 

体験できること

・和紙の歴史や素材、製造工程に関するレクチャー

・ハガキサイズの紙漉き体験

漉いた紙は、保護用のケースと袋に入れた湿紙の状態でお持ち帰りいただけます。

※紙の完全な乾燥は、ご自宅で行っていただきます。


【イベント当日限定】販売商品

11月15日限定で、PIGMENT TOKYO店頭にて紙漉きの道具や紙漉きキットを販売いたします。

こちらは、ご来店された方はどなたでもご購入いただけます。
・紙の素キット

・はがき用簀桁(すけた)ハガキサイズ


※数量に限りがあります。予めご了承ください。

※PIGMENT TOKYOのオンラインショップでは販売しておりません。


アワガミファクトリーとは

1300年の歴史を持つ阿波和紙の技術を継承しながら、現代の表現にふさわしい高品質な和紙を製造しているメーカーです。

竹の繊維を用いて漉いた「竹和紙」や、PIGMENT TOKYOオリジナルの配合による「竹×楮 混合紙」など、環境への配慮と創造性を両立した紙づくりを続けています。

 

 



典具帖(てんぐちょう)

 

典具帖は、通常の楮紙に比べて非常に薄く、繊細な紙です。おもに修復材料を目的として作られている和紙ですが、美術用やディスプレイといった様々な分野で使用されています。

描写面に貼ることで絵絹の裏彩色のような効果を得ることもできます。

※ロールのみでの販売となります。

 

 

富士楮ロール

徳島県のアワガミファクトリーが自社栽培した国産楮100%を使用して抄造された、高品質な未漂白の和紙ロールです。

pH 7.5〜9以上の中性紙で、酸化による劣化が起こりにくく、保存性に優れた和紙となっています。

未漂白のため、楮本来の自然な風合いを保ち、修復材料や作品の補強・裏打ちやアート作品の制作など、専門的な現場で幅広く活用されています。

 

 

典具帖ロール 3.8g/㎡ / 9g/㎡ 

アワガミファクトリー製で、楮00%の高級和紙ロールです。

無塩素漂白により、pH7.5〜9以上の中性紙(アシッドフリー紙)となっており、長期保存にも適しています。

 

 

典具帖ロール 2g/㎡ 

高品質な和紙製品で知られる、ひだか和紙有限会社(高知県)製で、楮100%で抄紙された世界最薄レベル(2.0g / ㎡)の土佐典具帖紙です。

無塩素漂白による中性紙のため、長期保存に適した優れた耐久性を持ち、酸化や劣化を防ぎます。

この超極薄の和紙は、高精度な機械漉き技術によって、非常に均一かつ滑らかな仕上がりが実現されており、紙の存在を感じさせないほどの透明感と軽さを誇ります。

ミケランジェロの壁画修復や国内外の美術館、博物館における文化財修復にも採用されており、国際的に高い評価を得ています。

 


 

その他伝統的な和紙

 

三椏紙

三椏を100%使用した、細くしなやかな繊維構造が特長です。

紙面は、三椏特有のなめらかで平滑な仕上がりで、インクや絵具の吸収性にも優れており、繊細な表現を求められる作品制作に適しています。

その品質の高さから、リトグラフ、銅版画、シルクスクリーン、木版画(水性・油性)などの各種版画技法をはじめ、水墨画や日本画などの筆を使った表現にも幅広くご活用いただけます。

 

 

 

麻紙

 

雲肌麻紙

雲肌麻紙(くもはだまし)は、楮と麻の強靭な繊維で漉かれており、高耐久・長期保存が可能です。

繊維が絡み合って生まれる独特の質感が、「雲肌(くもはだ)」のような表情を生み、その名の由来となっています。

紙肌はほぼ平滑でありながら自然な風合いを保ち、しっかりとした厚みと柔軟性を兼ね備えています。 筆致が映え、顔料や墨の発色も美しく仕上がります。アート作品に留まらず、書画や水墨画、表装と、多用途で使われている汎用性のある紙です。

 

 

 

新麻紙

新麻紙(しんまし)は、機械で漉かれた中性の和紙で、品質が安定しており、長期間の保存に適しています。原料に麻、楮、三椏が使われており、雲肌麻紙と三椏紙それぞれの長所を兼ね備えています。肌合いは雲肌麻紙よりもさらにきめ細かく、微細な表現にも対応できる紙質です。

 

 

 


 

PIGMENT TOKYOオリジナル紙素材と日本製の次世代紙

 

PIGMENT TOKYOがご提案するオリジナルの紙素材と、新たな作品制作に繋がる日本製の次世代紙をご紹介します。


楮×三椏 二層紙(PIGMENT TOKYO オリジナル)

二層構造で漉かれており、下層には繊維が長くて丈夫な楮、上層には繊維が細かく滑らかな三椏を用いています。楮が紙にしっかりとした強度とコシを与える一方で、三椏によって表面はなめらかで、やわらかな光沢と自然な白さが生まれます。楮と三椏、それぞれの特徴を活かした、上品で扱いやすい二層紙です。

 

 

 

竹×楮 混合紙 (PIGMENT TOKYO オリジナル)

強さと柔らかさを併せ持つ、竹パルプと楮を混合したハイブリッドな紙です。

通常の竹和紙よりも重厚感と高い強度があり、台紙に貼り付けることなく単体で使用することが出来ます。

500g/㎡という非常に高い紙厚のため丸めることはできませんが、版画やリトグラフにも使え、裏打ちや補強をせずそのまま作品に用いることができます。

筆記にも適した滑らかな質感と、しっかりとした厚み・コシを兼ね備えており、表現力のある紙としてさまざまな用途に対応します。

 

 

 

竹×楮 混合紙の使用感を、こちらの記事に画像サンプル付きでご紹介しています。

 

 

 

 

竹和紙

アワガミファクトリーが開発した環境配慮型の和紙です。

絵具の吸収の良さと表面の表情を重視し、コットン紙と比べると柔らかい風合いが特徴です。

強くしなやかな竹繊維と、リサイクル素材の再生パルプを使用し、自然素材と現代的な機能性を両立させています。

竹は成長が早く、土壌中で自然分解されやすいだけでなく、肥料や農薬もいりません。再生も早いので、森林を守る代替資源として注目されている素材のひとつです。


*竹和紙の「表(おもて)」面について

一般的な紙とは異なり、ややざらつきのある方を表として仕上げられています。

ただし、裏面も使用可能なため、表現や用途に応じて両面を使い分けることができます。

筆触の感覚や、絵具や墨の吸水やノリが異なるため、実際の制作前にお好みの面をお試しください。


竹和紙 水墨画用(にじみ止め加工 無し)

墨の吸収性とにじみの美しさを最大限に生かせます。一般的な楮紙やコットン紙と比べると、柔らかい風合いが特徴です。

中国の本画宣紙のような、自然なにじみと豊かな墨色が味わえます。

 

竹和紙 水彩画用(にじみ止め加工 有り/強ドーサ)

強めのにじみ止め加工を施し、美しい発色とシャープな描線ができます。

表面は滑らかで、筆の運びもスムーズです。にじみを抑えたい水彩表現にも最適です。

水彩画、リトグラフ、銅版画、シルクスクリーン、活版印刷など幅広い用途に対応しています。

 

 

 


ユニペーパーα

日本の高度な製紙技術を活用して開発された、新しいタイプの紙です。和紙とは異なる表現の可能性を持ち、創作の幅を広げます。

主成分には、水に強く破れにくいポリプロピレンを使用しており、表面はなめらかで、高い保存性を備えています。また、環境や資源への配慮もなされています。

また、表・裏の差がなく、絵具やインクのにじみだしや影響しにくいため、両面を使用することが可能です。

 

 

ユニペーパーαと各種画材との相性

さまざまな色材との相性が良く、箔押し技法を用いると、一般的な紙とは異なる独特のテクスチャーを表現できます。

また、描画後の定着性を高めるために、フィキサチーフなどの定着液の使用をおすすめしています。 

 

 

ユニペーパーとの相性

色材
定着性
使用感と特徴
アクリル絵具
非常に高い
アクリル樹脂特有の光沢がユニペーパーの質感とよく調和し、アクリル絵具ならではの表現力を引き出します。
アキーラ
アルキド樹脂絵具
非常に高い
アルキド樹脂由来の独特な光沢感がユニペーパーの表面特性と高度に調和し、アキーラの優れた層形成性と色彩表現の多様性を引き出します。
油絵具
良好(乾燥後に安定)
テレピンで希釈した場合、若干はじきが見られますが、発色や艶に優れています。
乾燥後にテレピンを含ませたウエスで拭き取ると、エッジの効いた白抜き表現も可能です。また、下地処理を行うことで、さらに良好な定着性が得られます。
乾燥後に安定
乾燥時に水分の引き跡が残るため、均一な画面にはなりにくいものの、和紙とは異なる風合いのにじみや、たらしこみが生む表情が魅力的です。
箔押し
高い
ワニスなど/膠5%使用時
極めてフラットな表面が、金属箔の光沢を美しく引き立てます。

 

 

 

紙の厚さ×にじみ 分布図

下の図は、PIGMENT TOKYOで取り扱っている紙の「厚さ」と「絵具・インクのにじみやすさ」を比較した分布図です。紙を選ぶ際の参考にご活用ください。

※手漉き紙は製品ごとに個体差がある場合がございます。あらかじめご了承ください。

※ご使用の色材によって、にじみ具合が異なる場合がございます。

※にじみの度合いは、「裏抜け」と「にじみ」を総合的に判断しています。

※本図はスペースの都合上あくまで大まかな配置となっております。目安としてご覧ください。

 

PIGMENT TOKYO 紙の厚さ×にじみ 分布図(2025年9月現在)

 

 

和紙は、単なる素材や基底材ではなく、作品と対話しながら表現の可能性を広げてくれる存在です。

用途や技法に応じて最適な一枚を選ぶことは、作品の完成度を高めるだけでなく、自分らしい表現を引き出す第一歩となります。

ぜひ、和紙の奥深い世界に触れ、あなたの創作に新たな息吹をもたらす一枚を見つけてみてください。

 

 

 

参考資料

アワガミファクトリー(富士製紙企業組合)

アワガミファクトリー

 和紙のいろは

 

ひだか和紙有限会社

ひだか和紙

 

 

 

白石 奈都子

編集・執筆者

白石 奈都子

多摩美術大学 染織デザイン専攻卒業。オリジナルの和紙、書を主体とした制作に携わり、アーティストとして活動中。

好きなマチエール:紙 躍動感のある木の繊維

多摩美術大学 染織デザイン専攻卒業。オリジナルの和紙、書を主体とした制作に携わり、アーティストとして活動中。

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