世界屈指の製紙技術を誇る日本の紙は、用途毎に改良が進み、高品質のものが有り過ぎて選ぶのに困るくらいの品揃えです。
その中でも、日本の製紙技術の礎になる和紙は特に種類が多い紙の一種です。和紙を使ってみたいけれど、どれを選んでいいのか判らない!と思ったことはありませんか?
和紙を購入する時の悩みTOP 5と言えば…このようなことを一度は感じた方も多いのではないでしょうか。
・種類が多くてどれを選んでいいかわからない
・特徴の違いは?
・サイズが大きい
・用語が難しい
・高い
そんな時に、知っていると和紙を選ぶ時に役立つ用語や、特徴などをご説明していきます。
和紙で用いられる言葉はたくさんありますが、最初はこれだけ知っていれば大丈夫!という項目をまとめております。和紙選びの際に、お役立てください。
匁は、日本古来から使用していた尺貫法において、重さを示す単位として使われてきました。大きさを示す「尺(1尺=約30.3cm)」も尺貫法の一つです。
洋紙の厚さを示す「紙厚(mmなど)」「坪量(g/㎡)」「連量(kg)」は、見たことがあったり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
坪量とは紙1㎡の重さを示します。また、連量は仕上がり時の寸法(四六判 788mm×1091mm)で1000枚紙を重ねた時の重さです。
基本の和紙に関する用語はわかりましたが、実際に選ぶとなると、どの紙がいいの?どれも使ってみたい……と迷ってしまいます。私も気になる紙に限って、大判しかなかったり、試すのには高いな…と思い、躊躇してしまうことがあります。
PIGMENT では支持体として使える和紙や加工紙をご用意しておりますが、「色々な紙を少しずつ欲しい」というご要望に応えたオリジナルの紙セットがございます。
・PIGMENTオリジナル紙セット
※こちらの商品は販売を終了いたしました。
中に入っている紙は、全部で16種類。当ラボの画材エキスパートが選んだ、メーカーも産地も異なる日本製の和紙や紙をセットにしました。和紙ではあまり販売されていない、試してみるのに丁度良いSMサイズ(227×158mm)で揃えております。
パッケージも手作りで、強制紙という紙を使用しています。この紙はシワ加工という和紙の伝統的な加工を施されていて、強度と耐久性に優れています。
紙セットに入っている紙で、特徴を比べてみましょう。表の数値は紙セット内容の紙においての比較です、数値の見方は下記をご参照ください。
・薄い 1 < 厚い 5
・弱い 1 < 強い 5
・にじまない 1 < にじむ 5
・滑かではない 1 < 滑か 5
・透けない 1 < 透ける 5
最初は、気軽に使いやすい、竹和紙を使用したアートパットシリーズの紙。
水墨画・水彩画用のどちらも15枚入りのパッドでの販売になりますが、大きさはハガキ、SM、F4サイズの3種ご用意があります。厚みがある紙なので、台紙貼りなしでも使えます。官製はがきが紙厚0.22mm、連量180kgですので、比べるとかなり厚手ですね。
和紙と言えば、楮、雁皮、三椏。まずは代表的な楮紙です。
楮紙は全部で6種。5匁と15匁の生、10匁のドーサ、それぞれ晒と未晒が入っています。
5匁晒と10匁晒を見てみましょう。
未晒は楮の持つ自然な色合いの生成色、晒も温かみのある白さです。ドーサの有無でにじみ具合が異なります。5匁は和紙特有の透け感がありますが、15匁だとあまり透けず、かなり厚みを感じます。生は種類が多く、20匁までご用意がございます。
次は、雁皮紙と三椏紙。
三椏を和紙の原料として使い始めたのは明治になってからで、他の2種に比べて新しい和紙の種類です。
雁皮は栽培が難しく、ほぼ自生しているものを使います。また、雁皮紙は和紙の中で一番光沢があり滑かで、ドーサを引かなくてもにじみにくいのが大きな特徴です。
麻と楮で漉いた、麻紙。
雲肌麻紙は未晒なので、楮特有の生成り色です。どちらも麻が入っているので丈夫です。
楮・三椏二層紙と新麻紙。
どちらも三椏が入っていて、楮のしなやかな強さと三椏の滑らかさを兼ね備えています。
個性的な2種。
500g/㎡という特厚な竹・楮混合紙と、ポリプロピレンがベースのユニペーパーα。
ユニペーパーは薄くても強靭、高耐水性で非常に滑かです。下記の商品ページに色々な絵具との相性について説明がございますので、ご参照ください。また、有害物質や環境負荷物質を使用しない合成紙で、環境への配慮もなされています。
当ラボのスタッフも、作品制作に使用しています。
【FEATURES】『私のおすすめ「ユニペーパーα」』
https://pigment.tokyo/blogs/article/88
また、PIGMENTでは、メーカーとユーザーの架け橋になるようなオリジナル商品を企画しており、「楮・三椏二層紙」と「竹×楮 混合紙」という紙も、その一つです。
材料を組み合わせることで、それぞれの良いところを併せ持ったハイブリットな紙です。
紙セットに入っている商品以外の和紙やサイズも各種ございますので、紙をお探しの方はこちらも併せてご覧ください。
紙
https://pigment.tokyo/ja/product/?category=%E7%B4%99/
和紙のパネルへの貼り方は、こちらの動画をご参考にしてください。
紙は見た目だけでは特徴の違いがわかりにくい画材ですが、どれも内に秘めた個性があります。
基底材選びから作品制作は始まり、その素材だからこそできる表現もあるのではないでしょうか。新しい画材との出会いの一歩に、ぜひお手に取って比べて見てください。