金箔や銀箔、色箔を絵画や器物、その他のものの表面に貼りつけることを「箔押し」と言います。この箔押し、PIGMENT TOKYOでご紹介している方法だけでも数種類あり、それぞれ異なった特性を有しています。
まずは完全な初心者の方には、当ラボのワークショップをおすすめしております。
「箔で夜空をつくる」では絵を描いたことのない方でも、箔に興味のある方はどなたでも簡単に制作できるよう、型紙を使ったシンプルな図版を用いて、箔の魅力を体験できます。
PIGMENT ARTICLES「ワークショップ[入門]箔で夜空をつくる」
すでに他のメディウムや画材に触れたことがある方には、好きな箔・メディウムを使って箔押しをするのもおすすめです。
当ラボで取り扱っている箔を貼るためのメディウムはこちらです。
①豚膠溶液 20%
こちらは豚膠溶液を20%濃度で作っていますので、使用する際に適した濃度まで薄めてご使用ください。防腐剤が入っておりますが腐敗しやすいため、冷蔵保存を推奨しております。
固まっている場合は瓶のまま湯煎するか、膠鍋などの器に適量移して温めてください。
こちらの膠は和紙の滲み止め用膠液(ドーサ液)として販売しておりますが、箔押しにも使用することができます。ただし、膠を使って箔を貼る際は、膠溶液だけだとすぐ乾いてしまうのでアルギン酸溶液を入れることで乾燥を遅くさせることができます。
箔貼りの場合は豚膠溶液を1.5〜3%溶液に希釈し、アルギン酸(1%溶液)を足してください。
また、金泥やパール系顔料のメディウムで使用する際も、1.5〜3%溶液にして使用してください。膠溶液は腐りやすいので、使いきれなかった分は冷蔵保存はもちろん、防腐剤の添加もお勧めしております。
こちらの商品は当ラボオリジナルなのはもちろん、ミョウバンなしでドーサの効果が得られる程度のゼリー強度を有しながら、透明度が高いので白い基底材への影響が少ないのが特徴です。
②魚膠 魚由来
豚膠同様、魚膠は紙や絹のにじみ止め加工であるドーサ液として利用されますが、箔押しや金泥の糊剤としても使用が可能です。この膠は透明性が高く、非常に強力なので箔を貼るのに適しています。こちらも①の膠同様、柔軟性を高めるためにアルギン酸を添加してください。
箔押しだけでなく、砂子でも使用することができます。
詳しい使い方やサンプルはこちらの記事でご紹介しております。
③アクアミッショーネ
膠以外の箔下糊の場合、イタリア製のアクアミッショーネという商品があります。
伝統的な膠の糊剤に対し、こちらは合成樹脂製の近代の箔下糊です。アクリル樹脂が原料で、表面は乾いても長時間粘着質が残るのが特徴です。ゆっくり作業ができるので、初めて箔を貼る方や、細かい形に箔を貼る作業にも向いています。
ただしその粘着性ゆえ、粉末の箔を散らす砂子や絵画作品には適していません。
この粘着質が残る性質を生かして、クラフト用途のシーンで活躍します。
アクアミッショーネが最も効果を出すのは曲面や球体、細い部分に箔を押したい場合です。
アクリルやガラス、石、木など、紙や布以外にも貼れるところもミッショーネの強みです。
サイズは3種類を展開しております。
PIGMENT TOKYO ARTICLES「ミッショーネを使って立体物に箔を押してみよう」より
詳しい使い方はこちらの記事もご覧ください。
④砂子セット
砂子の表現の初心者におすすめなのが、、PIGMENT TOKYOオリジナルの「砂子セット」です。
このセットには少量の箔と、砂子筒を1種類(目の荒さは選べません)、膠液や道具が1箱に収まっているので気軽に始めることができます。
砂子とは細かい箔のことで、それを画面に撒く技法です。
経巻や色紙など書の料紙装飾に多用されるほか、絵画では顔料の代わりとして地塗りに用いられたり、大和絵における雲形の色面である霞(かすみ)の部分に用いられます。
PIGMENT TOKYO「砂子セット」商品ページより
使い方もとても簡単で、
- 砂子筒に箔箸を使い、箔を入れて準備しておきます。
- 紙面に平筆を使い、膠液を塗ります。
- 膠液が乾かないうちに、箔を入れた砂子筒にスリ込刷毛を入れ軽くこするようにしてまきます。
- 要らない紙で軽く押さえて、箔を定着させます。
という4ステップで誰でも日本の伝統技法を体験できます。
豚膠、アルギン酸は粉状のものも販売しておりますので、大容量で必要な場合はそちらの購入もご検討ください。
PIGMENT TOKYOでしか入手できない箔のアイテムで、箔押しを体験してみてください。