ワークショップ[入門]箔で夜空をつくる

ワークショップ[入門]箔で夜空をつくる

金属を用いた装飾は古より世界で重宝され、多くの美術品をきらびやかに荘厳します。貴重で重量のある金属は、加工しやすいように金属を叩いて薄く延ばした「箔」にして、立体から平面まで多様に使われてきました。

今回は、身近にありながらも、なかなか出会う機会の少ない箔を体験できるワークショップについてご紹介いたします。

 

 

[入門]箔で夜空をつくる 

 

日程:毎月1回/日曜日

※曜日が変更になる月もございます。開催日程をご確認ください。

時間:14:00ー15:30

場所:PIGMENT TOKYO

ご予約:https://pigment.tokyo/collections/workshop

 

はじめて箔に触れる方にもわかりやすく講師がご説明いたしますのでご安心ください。

日本で受け継がれてきた平押し、あかうつし、砂子、切箔などの古典的技法と現代の簡易的な箔貼りを体験しながら、楽しく学べる講座です。

 

 

 

では、「箔で夜空をつくる」ワークショップの内容を見ていきましょう。

 

 

 

 

最初は、どのような作品にするか構図を考えます。

あらかじめ用意された型を使用していただきますので、普段は制作をしていない方や少し苦手な方、お子様でも箔の技法に集中して、作品を制作することができます。

同じ型を使っても、構成や砂子の撒き方で個性を出すこともできますので、ご自身の表現に合わせてアレンジしてください。

ご用意しているのは、月と人を象ったシルエット型。たて、よこ自由な構図で、思いのままイメージをふくらませてださい。

 

 

 

 

 

 

次に、箔の準備をします。

使用する箔は、洋金箔の赤口とアルミ箔。箔はとても薄く、わずかな風でも飛んでしまいます。そのため、箔を押すまでは作業環境を整えます。

 

 

箔は直接触ると手に付いてしまうため、日本では竹製の箔箸を用いるか「あかうつし」という方法で箔を移動させます。

本講座では、ワックスペーパー製のあかうつし紙を使用します。

 

 

 

 

箔の上にあかうつし紙を乗せて、箔箸で密着させてあかします。

作業は箔台という革製の台の上で行うことで、作業がスムーズに行えます。

 

 

 

 

 

 

扱いが難しい箔も、あかした箔は容易に手で持てるようになります。

なお、箔は対角線状に持つのが綺麗な平押しに繋がるポイント。

 

 

 

 

 

次は、いよいよ箔を押します。

箔を基底材に押すために必要な糊材。こちらのワークショップでは、特性の異なる2種類の糊材をご用意しております。

日本の伝統的な箔押し技法の一つである膠溶液を使用したやり方と、現代の箔下糊を使う箔押しを体験していただきます。

 

 

どちらも基本技法である平押しでお使いいただけますが、アクアミッショーネはアクリル樹脂でできているので粘性が強く、表面は乾いても長時間粘着質が残ります。そのため、初心者の方や、細かい作業に向いています。また、ユニペーパーなどの特殊紙や紙以外の基底材にもお使いいただけます。

異なる箔下糊を使うことで、それぞれの良さを知っていただけるでしょう。

 

画像は、アクアミッショーネを塗っている様子です。

 

 

 

 

アクアミッショーネを塗布した箇所にあかした箔を乗せ、脱脂綿を使い軽く押さえます。

この時に、強く擦ると箔がよれてしまうこともあるので、優しく撫ぜます。

 

もちろん、このような細かいポイントも講師が実践しながらご説明いたします。わからないことがあれば、お気軽にお声かけください。

 

 

 

 

糊材が付いている箇所だけ固着するので、余分な箔を落とすと平押ししたお月様が表れます。

 

 

 

 

 

 

次は切箔​​を行います。細かく切った箔で、文様を施す技法です。

講座ではパンチで丸い箔を作り、星や遠くの惑星を表現します。

 

 

 

 

穂に水を付けた筆で箔を拾います。

片手に膠を付けた筆、もう片方には箔を付けた筆を持ち、二刀流で箔押しします。

膠は乾きが早いので、膠を塗布した後、すぐに箔を置きます。

細かい作業が続きますが、箔の技法を一度にたくさん体験できるワークショップは、PIGMENTならではかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

続いて、砂子で装飾します。

細かい箔のことを「砂子(すなご)」と呼び、糊材を塗布したところに、細かい箔を撒く技法です。

人と稜線のシルエット型を好きな位置に配置し、砂子の星を撒く部分を決めます。

 

 

 

 

こちらのワークショップでは、竹筒に網が張られた砂子筒という道具を使います。

筒の中に箔を入れ、タタキ棒という硬い穂の筆で擦り、砂子を撒きます。網目のサイズを選ぶことで、精粗な砂子が生まれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、砂子の糊材には、魚膠溶液を使います。魚膠は乾くと基底材の表面に粘性がなくなるので、砂子のように無作為に糊材を塗布する場合にも向いています。

 

 

 

 

砂子の疎密で変化を持たせることで、暮れかかる闇に微かに光る星や、満天の星空など、イメージに合わせて表現してみてください。

 

 

 

 

砂子を撒いただけだと箔はまだ定着していません。切り紙という和紙で軽く押さえます。

 

 

 

 

できあがりです。

黒い和紙に小さな夜空が広がりました。 

 

 

 

 

日常生活では触れる機会がない箔の道具ですが、様々な技法や道具を一度に使えるのも貴重な出会いではないでしょうか。

 

 

 

現在、PIGMENT TOKYOで定期的に開催しているワークショップは3種類ございます。いずれも入門講座なので、どなたでもご参加いただけます。

「岩絵具で花をえがく」「水彩絵具づくり」の詳細は、下記の記事にてご紹介しております。

どちらの講座も年齢や経験を問わずご参加可能ですので、ワークショップにご興味のある方は併せてご参照ください。

  

ワークショップ [入門]岩絵具で花をえがく 

ワークショップ [入門]水彩絵具づくり 

 

 

 

柔らかい光がゆらめく箔を通し、日本の文化を知る好機に、ワークショップをぜひご活用ください。

Profile

白石 奈都子

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

白石 奈都子

多摩美術大学染織デザイン専攻卒業。オリジナルの紙や和紙、書を主体とした制作に携わり、現在はアーティストとして活動中。

多摩美術大学染織デザイン専攻卒業。オリジナルの紙や和紙、書を主体とした制作に携わり、現在はアーティストとして活動中。