パール系顔料とはエフェクト顔料とも呼ばれる色材で、さまざまなメディウムと混ぜて使用されます。
技法材料という視点で区分すると、アルミをベースにしたものや、パールをベースにしたもの、チタンでコーティングして偏光できる絵具など、細かく分類が可能ですが、メディウムと混ぜた時の効果は大きく分けて2種類あります。
まずひとつめが、チューブ絵具で多用される顔料と同様に、メディウムと混ぜるだけで光沢感のある絵具になるエフェクト顔料です。
下地を暗くすることでより光沢感を得ることができますが、基本的には白系の下地に着彩しても光沢感のある塗面が作れます。
こちらの写真は株式会社クサカベから販売されている金と銀系のエフェクト顔料。
ゴールドとグリーンゴールドは真鍮を、パールゴールドとパールシルバー、パールブロンズは酸化チタン被覆雲母で組成されています。
ふたつめが、下地を黒くしたり黒系の絵具を混ぜることで強く発色するタイプのエフェクト顔料。そしてこちらのシリーズがメタシャインと呼ばれるもので、強い光輝性を持つのが特徴です。
フレーク状のガラスを核とし、その表面に金属や金属酸化物をコーティングすることで美しい光沢を放ちます。
PIGMENT ARTICLES「メタシャインシリーズをアクリル絵具と混ぜてみよう」より
例えば、メタシャインチタニアコートGT1080RR(レッド)を塗り比べると、このような発色の違いがあります。
PIGMENT ARTICLES「メタシャインシリーズをアクリル絵具と混ぜてみよう」より
また、これらのエフェクト顔料は比重が軽いため舞いやすい上に、メディウムと混ぜる時も種類によっては表面張力が強く、時には分散剤を添加する必要性があるなど上手く混ぜるためには少々コツがいります。
そこでおすすめなのが、チューブやボトル入りとエフェクト系の絵具です。
容器から出してすぐに使えるので、初心者の方でも簡単にキラキラ感を楽しむことができます。
今回は当ラボが取り扱うエフェクト系絵具をいくつかご紹介します。
イリデッセンスは、見る角度によって色味が変わる偏光顔料を使用したアクリル樹脂絵具です。
乾燥すると耐水性になります。他のアクリル絵具や各種水系メディウムと併用することができるので、汎用性の高い商品です。
クロマシャインをベースにしたものと、クロマパールの2種類があり、前者は不透明性の高い金属色で、下地の色に影響を受けにくいのが特徴です。後者は透明性が高く、下地の色を活かしながら、キラキラと色が変わる効果を発揮します。
イリデッセンス クロマシャイン8色セット AC893と、イリデッセンス クロマパール8色セット AC894の2種類のセットもご用意。
それぞれ大きいボトルもご用意しておりますが、少しずつ色を試したい場合はこちらのセットがおすすめです。
イリデッセンス クロマシャイン8色セット AC893 イリデッセンス クロマパール8色セット AC894
松田油絵具株式会社のパールカラーは、イリデッセンス同様にアクリル樹脂絵具です。
透明感のある、しなやかな被膜が特徴で、乾燥後も落ち着いた艶感を得ることができます。顔料濃度が高いので、耐光性と発色に優れています。また、この絵具は絵画用だけでなく、皮革の手芸用としても人気の商品があります。
こちらの絵具も「パール」という名前がつく絵具は、白地と黒地で色が大きく変化します。
パールカラーレッド パールカラーパールブルー パールカラーパールピンク パールカラーパールゴールド
パールカラーブラウン パールカラーパールグリーン パールカラーパールシルバー パールカラーゴールド
パールカラーシルバー パールカラーブロンズ パールカラーロイヤルゴールド パールカラーブラウンゴールド
通常のアクリル絵具と混ぜることで、エフェクト感を添加することもできますので、色の幅を広げることができます。
ファインテック パールセントカラーは、天然アラビアゴムとパール系顔料や偏光顔料を使用して作られた水彩絵具です。アラビアゴムを使用しているので、上記2つと比べて乾燥後も耐水性はありません。
筆だけでなく、つけペンやガラスペンでのドローイングにも適しています。
F0603 6色セット F0602 6色セット F2400 24色セット F1200 12色セット
ファインテックは水彩絵具で耐水性ではないため、ホルベインのイリデッセンスや、パールカラーなどのアクリル絵具と混色はできません。他の商品と併用する場合は透明水彩絵具をお使いください。
顔料から絵具を作る場合、使いきれない量ができてしまうことも多々ありますが、このようにチューブやパンケーキ状になっているものは少量から使用できます。
作品のちょっとしたアクセントにも、こうしたエフェクト系の絵具を使ってみてはいかがでしょうか。