マイカとチタンの輝き、[Py]シリーズ

マイカとチタンの輝き、[Py]シリーズ

PIGMENT TOKYOでは、一般的な画材店では手に入れることができないような貴重な顔料を購入することができます。

特にエフェクト顔料については、現在14種類以上のものを取扱いしております。



エフェクト顔料とはマイカやガラス、金属などをベースに作られたキラキラとした顔料など、塗った面に視覚的なエフェクト(効果)を与える顔料です。ただ、これらの商品は主に工業製品や印刷物など大量に使用する目的で製造されており、個人で入手できる色には限りがあります。


当ラボでは15g単位で販売しておりますので、個人の方でも気軽にエフェクト顔料の色彩をお楽しみいただけます。

 

また、店頭にてPIGMENTオリジナルのエフェクト顔料の塗り見本帳もご用意しております。ディスプレイで見ただけでは分からない偏光感や、角度によって変わる顔料の粒子によるグリッター(輝き)感を確認できます。

 

 

 

今回ご紹介するのは [Py]シリーズです。こちらは以前ご紹介した「メタシャイン」シリーズ同様に、黒系の下地で色が大きく変化する顔料です。天然の雲母をベースとし、その周りに特別開発された酸化チタンがコーティングされています。

まずは瓶に入った顔料の状態をみてみましょう。

 

 

 

このように一見すると白味がかった顔料なのですが、基底材の色を黒くすることでこのように変化いたします。一般的にこうしたキラキラとした顔料は黒系のベースで仕上げることが多いのですが、特にこうした透明度の高いエフェクト顔料は基底材の色を暗くすることでよりその能力を引き出すことができます。

今回ご紹介するのは、その[Py]シリーズの中でも人気の4色。

(※T40-25 SW ターコイズは2022年11月現在、欠品中です。)

 

【使用画材】

色材:[Py] T30-01 ロイヤルダマスク[Py] T40-24 SW カラースペース グリーン、ピリズマ T40-25 SW ターコイズ、[Py] T30-00 パシフィックラグーン

アクリル絵具 アイボリーブラック

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用

 

 

この顔料の特徴は、なんといってもその色のシルキーな色味です。大きな粒がキラキラと輝くというよりは、まるで絹のようにしっとりとした煌めきが特徴。雪景色のイルミネーションを思わせるような、全体的に落ち着いた雰囲気を作り出すことができます。

 

またスプレー塗装にも適しており、薄塗りで最小限の顔料を使用をした場合でも、鮮明な色彩効果を得ることができます。工業製品にも耐えられるようなクオリティで製造されているため、強靭な塗膜を作ることが可能です。



黒い絵具を追加することで下地を黒にした時とはまた別の効果を得ることができます。実際に塗ってみた様子がこちらです。

 

【使用画材】

色材:[Py] T30-01 ロイヤルダマスク[Py] T40-24 SW カラースペース グリーン[Py] T40-25 SW ターコイズ、[Py] T30-00 パシフィックラグーン

アクリル絵具 アイボリーブラック

メディウム:ホルベイン ジェルメディウム

基底材:竹和紙 水彩画用

 

水系アクリル樹脂のジェルメディウムにマツダのアクリル絵具を少量添加して塗装しました。このメディウムは非常に透明性が高いのが特徴です。アクリルエマルションを使用すると、ジェルメディウムと比べて少し不透明性のある塗膜を得ることができます。

また、このエフェクト顔料は比重が軽く、表面張力が強いので水系メディウムとうまく混ざらなかったので、分散剤を添加しています。

 

黒系下地に塗った場合と白地に塗った場合の中間のような、グレートーン寄りのカラーパレットになりました。絵具がしっかり混ざっているので、黒地に塗った時のような透け感がないのが綺麗でした。

 

上記の塗り見本は曲面に紙を貼り付けて撮影をしたのですが、フラットな面で角度をつけるとこのような変化をします。このように見る視点によって色味が変わっていくのも、エフェクト顔料ならではの表現です。

 

【使用画材】

色材:[Py] T30-01 ロイヤルダマスク[Py] T40-24 SW カラースペース グリーン[Py] T40-25 SW ターコイズ、[Py] T30-00 パシフィックラグーン

アクリル絵具 アイボリーブラック

メディウム:ホルベイン ジェルメディウム

基底材:竹和紙 水彩画用

 

曲面で上から光を当てた時と比べて、より顔料独自の色味が出ているようにも見えます。同じ色材でも、見る角度によって大きく変わるのが、この画材の特徴です。

エフェクト顔料は、あえて白系の色調をそのまま使ったり、添加する黒の量を変えてみたりと、作り手で色々とカスタムできるのが魅力のひとつです。

粒子径も細かく、塗りサンプルを作っていても非常に扱いやすい顔料でしたので、初めての初めて使う方にもぴったりかもしれません。

 

ぜひ、あなただけの使い方を見つけてみてください。

 

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。