暗闇で光る不思議な絵具

暗闇で光る不思議な絵具

明るいところで光を取り込み暗いところで光る蓄光顔料は、19世紀初頭より時計の文字盤などに使用されてきました。


かつてはラジウムを初めとする人体に害のある成分を含んでいたこの顔料ですが、現在は人体に害がないものに置き換わっております。

今回の記事では、PIGMENT TOKYOで新しく取り扱いがスタートした顔料を、塗り見本と合わせてご紹介します。


まず最初にご紹介するのは、クサカベから販売されている蓄光ブルーと蓄光グリーンです。




明るいところでは少しクリーム色がかった見た目をしたこちらの顔料。

しかし、今までの蓄光顔料とは一味違った特性を持っています。


まずひとつ目が強く光ること。蓄光顔料というと黄緑色に発光するのを想像される方も多いかと思いますが、暗所では蓄光グリーンは緑色に、蓄光ブルーは青く光ります。

しかも、その発光時間は蛍光灯に15分当てるだけで8時間光り続けます。

ただし長時間、強く光りるわけではなく、最初の数時間だけ強く光り、そのあとはじんわりと光り続けます。

光源は日光や蛍光灯、LEDでも使用できます。


その次のポイントが、科学的な安定性です。

水系メディウムはもちろん、さまざまな種類の絵具作りが可能です。

もちろん、環境問題にも配慮した素材から作られているので、人体に有害な物質も含んでおりません。



この他にも、3種類の顔料の取り扱いをスタートしました。




こちらの顔料は上記の商品とは異なり、粉自体に着彩されています。

ただし、光り方は上記の顔料と比べると着色されているため少し控えめです。

もちろん、こちらの顔料も有害物質を含んでおらず、環境・人体にも優しい商品となっておりますので、安全にご使用できます。


特別な耐光処理を施していますが、屋外で長時間使用すると温度・湿度・紫外線などの複合作用で黒変する恐れがありますので、ご注意ください。


それでは実際に絵具を作ってみましょう。

今回使用するのは、アクリルエマルションです。





メディウムと顔料を混ぜるときに、混ぜやすくするため、水性顔料用の分散剤もあるとおすすめです。

分散剤を加えることで、水に浮くような細かい顔料でも混ぜやすくなり、より美しい発色と安定した定着性を与えることができます。





まずは蓄光オレンジ 8O-010と蓄光ピンク 8P-010のご紹介です。



【使用画材】

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


それぞれの濃度に合わせてメディウムの量を多くしてみたり、少なくしてみたりと、調整が出来るのはオリジナルで作る絵具ならではの手法です。

これを暗闇に持っていくと、このように発光いたします。



【使用画材】

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用



また、蛍光色同士はもちろん、発光しない通常のピグメントを使用してオリジナルの蛍光顔料を作ることもできます。

こちらは蓄光ブルーにクサカベのスカイブルーを混色したものです。

一見、なんの変哲もないこちらの絵具ですが、暗闇に持っていくと、このように強く青に発光します。



【使用画材】

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


どんなメディウムを使ったらいいか分からないという方は、当ラボの画材エキスパートが、お客様のニーズに合ったものをご提案いたしますので、ご相談ください。


どのようなメディウムがあるのか気になる方は、こちらのページをご覧ください。


PIGMENT TOKYO 「展色剤・膠」


通常の色材とは一味違った顔料を、ぜひお試しください。

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。