メーカーや色はもちろん、見る角度や基底材によって多様な発色を見せてくれるエフェクト顔料。
皆様はお使いになったことはございますか。
PIGMENT TOKYOでは天王洲での店舗ではもちろんのこと、さまざまな種類のエフェクト顔料をオンラインでも販売しております。
今回の記事では、ご好評いただいたエフェクト顔料をピックアップし、一味違った応用的な使い方で、偏光感を楽しんでみようと思います。
当ラボでの人気色はこちらの3色でした。
下地の色が白か黒で全く見え方が変わる[Mi]シリーズ、玉虫色の光沢を作ることができる[Co]シリーズ、光輝性の高い [Xi]シリーズと、どれも個性的な色ばかり。
それではまず、エフェクト顔料の基本的な使い方からご紹介しましょう。
今回は透明水彩用のメディウムであるアラビアゴムを使用します。このメディウムは、絵具づくりが初めての方でも扱いやすいのでおすすめです。
透明水彩はその名の通り高い透明性を有した水溶性の絵具です。パレットや絵皿で絵具が乾燥してしまっても、水をつけると再度使えるようになるため、お子様でも安心してご使用できます。
ただし、エフェクト顔料は種類によって表面張力が強いものがあり、メディウムと混ざりにくい性質を持っている種類もございます。その場合は、分散剤を添加するとより絵具が練り合わせやすくなりますので、併せてご準備をおすすめいたします。
(比重の軽い通常の顔料で絵具を作る時にも使用できます。)
今回は絵皿を使って絵具を混ぜ合わせます。使用する顔料は [Mi]シリーズ パシフィックトゥインクル 5402です。
まずは少量の水と分散剤を使ってペースト状の顔料を作りましょう。
エフェクト顔料は比重が軽く舞いやすいため、大量に使用する場合はマスクなどをつけて防塵対策をした上で作業を行うと良いでしょう。
スポイトを使用すると水の添加が簡単で便利です。
水を入れた時に顔料が浮いて混ざりにくい場合は、分散剤を数滴入れてみてください。
その後、顔料ペーストに対し1:1くらいの割合でメディウムを添加します。
同じ水系メディウムでもアクリル樹脂やテンペラの場合は適した割合が変化するため、ご自身でお好みの量を調整してください。
こうしたカスタムが可能なのも、手作りの絵具ならではのメリットです。
アラビアゴムをメディウムにした絵具をたくさん作る場合は、グリセリンや蜂蜜を入れると艶が出て滑らかな絵具になります。
水彩絵具用のアラビアゴムを加えている様子。
ダマにならないよう、しっかり混ぜてください。
そして完成したものがこちらになります。
今回はこちらの絵具にひと工夫を加えてみましょう。ご用意いただきたいのは、こちらの黒い顔料ペースト。
この商品は糊材の入ってない顔料を水系のペースト状にしたもので、これとメディウムを混ぜることで簡単に絵具を作ることができます。
エフェクト顔料は下地の色が黒系か白系かで色の見え方が変化しますが、色材を混ぜても同様の効果を得ることができます。試しに先ほど練った絵具の上から、黒の顔料ペーストを数滴垂らしてみましょう。
実際に混ぜてみた様子がこちらです。じわじわと顔料が滲んでマーブリングしていく様子は見ていても楽しいです。
今回は絵皿に2〜3滴ほど垂らしてから混色をしました。
なお、顔料ペーストは多く混ぜ過ぎてしまうと絵具の接着力が弱まってしまうため、沢山添加した場合は必要に応じてメディウムの量を増やしてください。
絵皿の中のマーブリング模様が美しいです。
使う前は筆にしっかり馴染ませてください。
完全に混ぜた状態と、混ぜる前の状態で塗り比べてみました。塗った状態でこのような差があります。
一見ただの白いキラキラの絵具に、ほんの少し黒を混ぜるだけで、こんなに色が変化します。
黒く塗ることができない下地を使う場合は、このような方法でもエフェクト顔料の特性を得ることが可能です。
【使用画材】
色材: [Mi] パシフィックトゥインクル 5402
メディウム:ガムアラビック水彩メディウム
基底材:竹和紙 水彩画用
先ほど紹介した、他の人気色も試してみましょう。
[Co] アークティックファイヤー T20-02に黒い顔料ペーストを加え、同じく透明水彩のメディウムで混ぜて、紙パレットの上に垂らします。その上からパシフィックトゥインクル 5402を重ねて、その上から竹和紙アートパッドを重ねます。
すると、支持体にこのようなランダムな模様を作り出すことができます。
【使用画材】
色材: [Co] アークティックファイヤー T20-02、 [Mi] パシフィックトゥインクル 5402
メディウム:ガムアラビック水彩メディウム(クサカベ)
基底材:竹和紙 水彩画用(アワガミファクトリー)
最後に、 [Xi] T61-10 マイクロシルバーも使ってみましょう。
この顔料にも、同じく黒い顔料ペーストを加えてみます。
上記ふたつの顔料と比べて表面張力が強く、混ざりにくいため、パレットナイフなどを使ってしっかりと混色する必要がありました。
紙パレットの上で混ぜている時の様子が幻想的でした。
この絵具を下地用の絵具として使用してみます。
画像左の支持体には [Xi] T61-10 マイクロシルバー単体を、右には黒をアクリルエマルションで混色したものを塗っています。
そこにパシフィックトゥインクル 5402のレイヤーを重ねました。
上段はパシフィックトゥインクル 5402のみで、下段はそこに黒を加えています。
エフェクト顔料の上に更にエフェクト顔料を重ねることで、また一味違った偏光感を作ることができます。
【使用画材】
色材: [Xi] T61-10 マイクロシルバー、 [Mi] パシフィックトゥインクル 5402
メディウム:アクリルエマルション、ガムアラビック水彩メディウム(クサカベ)
基底材:竹和紙 水彩画用(アワガミファクトリー)
顔料単体、黒い顔料ペーストを加えた時、下に他のエフェクト顔料がある時、そして下地が黒い場合など、ひとつの色でたくさんの表情を見せてくれるエフェクト顔料。
例えば墨流しの手法を使って、混色途中の模様を写しとっても面白いかもしれません。
ユニークなエフェクト顔料の世界を、ぜひ体験してみてください。