唯一無二の鮮やかさ、蛍光顔料

唯一無二の鮮やかさ、蛍光顔料

私たちが普段目にしているチューブ入り絵具は顔料とメディウム、そして体質顔料などを組み合わせて作られています。


顔料とメディウムは砂糖や塩のように液体へ溶解しているのではなく、粘度のある液体に粒子の粒が混ざっているだけの状態です。そのため、これらを練った状態で長期間保管すると、それぞれが分離する可能性があります。

各画材メーカーは分離が起きないよう、体質顔料やその他の添加剤を用いて調整をし、それを防いでいます。これらは顔料やメディウムの種類によって配合が異なり、配合比はメーカーにとっては資産のようなもの。私たちユーザーが一朝一夕で真似できるものではありません。


もちろん練り合わせた絵具をその日に使用する場合は、チューブに充填をする必要はないでしょう。

さしずめ、チューブ入り絵具は大手メーカーが作る保存食品、手練りの絵具はご家庭のキッチンで作る食事といったところでしょうか。

そして前者と後者の両者をうまく組み合わせていくことが大切なのは、料理もアートも一緒です。



例えばこうした蛍光顔料の絵具は、まさに「手作り」にぴったりの絵具です。



と言いますのも、アクリル絵具、アクリルガッシュの場合は様々なメーカーから蛍光顔料のチューブ入り絵具が販売されておりますが、油絵具でこうした色を探すのは容易ではありません。

また水系絵具でも、こうした特殊な色は大容量のチューブが用意されてないという場合も多々あります。

そのような時は、メディウムを購入し自作の絵具を作るのがおすすめです。

体質顔料が入っていない、顔料100%の絵具を使用することができます。



実際に塗ってみたサンプルはこちらです。



【使用画材】

色材:蛍光顔料

メディウム:ガムアラビック 水彩メディウム

基底材:竹和紙 水彩画用


蛍光顔料ならではの、彩度の高い鮮やかな発色が魅力的です。

透明水彩を作りたい場合は「ガムアラビック 水彩メディウム」、アクリル絵具を作りたい場合は「アクリルエマルション」、油絵具の場合は「オイルカラーメディウム」をご使用ください。

ガムアラビックを使用する場合、多くの顔料はメディウムとの対比を1:1にすると良いのですが、それ以外の場合はベストな比率が異なります。

ご自身でテストを重ねながらお試しください。




もちろん、蛍光顔料をテンペラ絵具で試してみたいという方には、ZECCHIの各種テンペラメディウムもおすすめです。

ガムアラビックと一味違う、しっとりとした質感と落ち着いた光沢が味わい深いです。



【使用画材】

色材:蛍光顔料

メディウム:卵テンペラメディウム

基底材:竹和紙 水彩画用



ぜひ、色々なメディウムで蛍光顔料の絵具を作ってみてください。


Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。