日本の技術が生んだ色彩美 ミノー油絵具

日本の技術が生んだ色彩美 ミノー油絵具

更新日:2025年5月9日

 

 

PIGMENT TOKYOでは、株式会社クサカベの「ミノー油絵具」を取り扱っています。単一顔料を追求し、日本製ならではの繊細で上質な色味が特徴です。
薄塗りでも色がしっかりと色が乗り、鮮やかな発色を保つため、表現や絵具の質を追求したい方にぜひ使っていただきたい、プロフェッショナルな使用にも適した逸品です。

 

ミノー油絵具 商品一覧

 

 

 

株式会社クサカベは、前身の「クサカベ油絵具製造株式会社」にて、1928年に油絵具の製造を開始しました。その後、統廃合を経て一度生産が終了した「ミノーブランド」の専門家用油絵具が、旧クサカベ油絵具技術者の創業からの経験とノウハウを基に2021年にリニューアルしました。

初代ミノーが登場してから約50年経過し、絵具作りを取り巻く環境は大きく変化しています。技術の発展に伴い高性能かつ高機能な原料が増えたのはもちろん、長年蓄えた技術や知見により、加工が難しい天然鉱石を微粉砕した絵具もラインナップされています。

なかでも注目のアイテムは、天然のラピスラズリを使用した「ミノー油絵具 08 ラピスラズリ(天然)」です。
ラピスラズリはたいへん貴重な鉱物で、ウルトラマリンブルーという名前で知られています。その深く美しい青は「フェルメール・ブルー」とも呼ばれ、17世紀の画家フェルメールが愛用していたことで有名です。
古典的な技法や素材に興味のある方にもおすすめの油絵具です。

 

 

また、他にも目を引くが個人的におすすめしたいのが、大地や植物を感じさせるアースカラー系の色です。

天然テールベルト、ローアンバーやバーントアンバーは、落ち着きのあるしっとりとして渋みのある色彩で、美しさが際立ちます。なお、このテールベルトは国産の緑土を使用しています。

 

 

実際に絵具の色味をみてみましょう。使ったのは、フタロブルー、キナクリドンマゼンタ、キノフタロンイエローの3種類です。

 

 

パレットに出した感触は、やや柔らかめペーストです。たとえば同社の「油絵具 ストライプクリアボックスセット No.5」に入っているチューブ入りの絵具より光沢感が強く、粘度もあるため繊細なタッチを要求する場面で活躍するでしょう。

 

 

 

この3色をパレットナイフで軽く混ぜてみるとこのようになりました。しっかりメディウムと顔料が分散されているので、手触りが非常に滑らかで、混色も容易です。

 

 

 

同色を薄く伸ばすとこのような表現ができました。油絵具は乾燥が遅いため、こうした薄塗りの描画をしても綺麗なグラデーションをつくることができます。

 

 

日本のメーカーの技術が結実したミノー油絵具。

実際に触れてみると、その滑らかさに感動することでしょう。ぜひ一度、その発色と質感をご自身の手で感じてみてください。

 

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。

平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。

平面作品を中心にアーティスト活動中。