ワークショップ [入門]岩絵具で花をえがく

ワークショップ [入門]岩絵具で花をえがく

更新日:2024年7月4日

 

PIGMENT TOKYOには、千紫万紅の顔料に彩られた棚があります。

それでは、顔料はどのように画材として使われてきたのでしょうか。

世界各地でそれぞれの風土と共に育まれた文化や技術は、絵画表現にも結びつき、人間の「色で表現したい」という欲望は古代から変わりません。きれいな色の絵具で描き、保存することは、先人の知恵と経験によって進化してきました。

日本においても独自の感性で色を絵具にし、絵画として多種多様な作品が描かれてきました。

しかしながら伝統的な日本の絵画とはどのように描くのかあまり知られていません。

PIGMENT TOKYOでは、どなたでも画材について体験しながら学べるワークショップを恒常的に行なっており、日本の伝統的な技法材料の講座も企画しております。

 

こちらの記事では、岩絵具で描いて学べるワークショップについて詳しくご紹介いたします。

 

 

[入門]岩絵具で花をえがく

 

日程:毎月1回/日曜日

 ※回数や曜日が変更することもございます。日程の詳細はご予約ページにてご確認ください。

時間:14:00-15:30

場所:PIGMENT TOKYO

受講料:一般 ¥6,600 (税込・材料費込)

年齢制限:推奨5歳以上

ご予約:https://pigment.tokyo/collections/workshop

お持ち物:なし

 

<チケットオプション(ご希望の方はご選択ください)>

◾️保護者同席(1名様):無料

椅子を追加で1席ご用意いたします。

※数に限りがございます。

※受講1名様に対し、ご同席は1名様までとなります。

※材料は含まれません(制作のお手伝いは可能です)。

 

 

◾️その他

※講座内では、動物性の接着剤である膠(にかわ)を使用します。代替品としてアラビアゴム(樹液)をご用意しておりますので、ご希望の方は講師へお声がけください。

 

 

壁面に並ぶ顔料は、天然の石や土、有機物や無機物を化学的に合成したものなど約4500色に及びます。

日本で受け継がれてきた絵画技法では、天然の石や土から作った顔料「岩絵具」と、もうひとつの象徴的な材料である膠(にかわ)が使われてきました。

講座では、PIGMENT TOKYOの画材エキスパートが岩絵具の素材や技法についての基礎知識をわかりやすくレクチャーいたします。

実技ではご自身で練り合わせた絵具で下絵された花に着彩し、A5サイズの作品を制作していただきます。


また、岩絵具には他の顔料とは異なる特徴があります。それは、同じ色でも粒子の大きさの違いで異なる色調を生み出します。このような材料とその特性を体験を通して理解を深める、体験型ワークショップです。

岩絵具での描画や技法材料にご興味がある方、絵を描くことや色材が大好きなお子様もお気軽にご参加ください。

また、美術を通して教養を高めたい方や色材への知識を深めたいアーティストなど、経験や受講目的も自由な入門講座です。 



それでは、講座の内容を見てみましょう。

 

 

◾️講義 14:00-14:20(約20分)


 ワークショップスペース風景

 

 

講義では、岩絵具の素材となる顔料と膠についてお話しいたします。


顔料には石や土など自然由来の素材から成る天然顔料と、人工的に作られた合成顔料があり、それらは岩絵具だけでなく水彩絵具や油絵具、アクリル絵具など様々な絵具の色材、「色の元」です。

岩絵具は、原料を粉砕し粒子状にした顔料で、10段階の粒度に分けて製造されます。

同じ色の顔料でも粒度により色調も変わります。また、日本古来の絵画作品に見られる粒子感のある砂のような質感は岩絵具ならではです。


もうひとつの、岩絵具に欠かせない大事な素材、膠。

膠とは、動物の骨や皮などのコラーゲンを煮詰めて精製したものです。現代では日常生活ではあまり馴染みのない「膠」ですが、昔は糊剤として木材や紙の接着に使われてきました。

そして膠は、紙や絹などの基底材に顔料を定着させる糊剤としても使われます。

絵具の糊材は膠以外にもありますが、水との親和性がよく、温度により変化する性質があります。

低温だと固体、温度が上がるとゲル化、液体と変容し、その状態を行き来することができます。

そのため、寒暖差と湿度変化が大きい日本では、掛軸での保管や裏打ちなど温湿度や形状の変化に柔軟に対応できる最適な素材で、古くより日本絵画で使われてきました。


顔料と膠を中心に基本的な絵具やその素材、似て非なる顔料と染料のお話など、お子様や美術や画材に馴染みのない方にも楽しんでいただけるように、入門講座らしくシンプルにわかりやすくご説明いたします。

 

 

 

◾️作品制作 14:20-15:30(約70分)

岩絵具について理解を深めたところで、講師によるデモンストレーションをご覧いただきながら、みなさまにも彩色に使う絵具を練っていただきます。

道具の使い方と併せて、絵具のつくり方のポイントをひとつひとつ順を追いながらお伝えします。

 

 

梅皿に並ぶ岩絵具(銀紅末/柳茶) 

 

 

梅皿にご用意した岩絵具は、まるで和菓子のような色合いの銀紅末と柳茶です。落ち着いたなかに深みのある、とても綺麗な色です。

柔らかな3色の紅色は、銀紅末の8番、13番、白(びゃく)番。番手の数字が大きくなるほどに細かく、淡い色になり、白は最も明るい色です。

この2種類の顔料が、どのように牡丹を彩るのでしょうか。

 

※花の種類と顔料の色は季節により異なる場合がございます。

 

 

 

 

 

 顔料と膠を練っている様子



顔料に膠を入れ、指先で岩絵具の粒子を感じながらよく練ります。

そして絵具を練りながら、絵のイメージをふくらませます。本講座では、実際に作品制作にも使用できる画材を使って体験していただきます。

色の粉「顔料」を、膠と合わせて指で一色一色ていねいに練ることで「絵具」に変わります。

日本の伝統的な絵具に欠かせない膠とは、動物のコラーゲンを煮詰めて作られます。なぜ、岩絵具には膠を使うのか、視覚と指から伝わる感触の双方で体験することで、その理由がよりダイレクトに感じながら理解できるかもしれません。



小さいお子さまがご参加の際は、保護者の方にお手伝いいただくことをおすすめしております。

なお、制作のお手伝いのみをご希望の方は「同席オプション」もございますので、ご要望に合わせてチケットをお選びください。

※スペースに限りがあるため、同席オプションは規定数に達し次第締め切らせていただきます。

※受講または同席オプションのご予約が無い方のお手伝い、ならびに長時間にわたるお立ち見はご遠慮いただいております。

ご不明な点やお困り事がございましたら、こちらのメールよりご相談ください。

お問い合わせ - PIGMENT TOKYO 

 

 

描画風景

 

 

いよいよ、着彩の時間です。
色を塗ることは大好きだけど、絵に自信がないという方もご安心ください。
特製の和紙ボードには線で牡丹が描かれているので、感覚のままに花弁や葉に色を差し、牡丹を表現することに集中できます。

 

技法や道具、画材についてわからないことがございましたら、ご遠慮なく講師におたずねください。

  

 

 

 

 

 

制作した作品はお持ち帰りいただけますので、ワークショップの後もご自身の作品で、ご自宅をアートのある空間にすることもできます。

受け継がれてきた技術と画材を体験し、日本の文化の魅力を再発見できるかもしれません。




PIGMENT TOKYO ワークショップ

 


ワークショップ 入門講座

 

日程:

[入門]岩絵具で花をえがく(月1回/日曜日)

[入門]箔で夜空をつくる(月1回/日曜日)

[入門]水彩絵具づくり(月2回/日曜日)

ご予約:https://pigment.tokyo/collections/workshop

※回数や曜日を変更することもございます。日程等の詳細は各講座のご予約ページにてご覧ください。

Profile

白石 奈都子

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

白石 奈都子

多摩美術大学染織デザイン専攻卒業。オリジナルの紙や和紙、書を主体とした制作に携わり、現在はアーティストとして活動中。

多摩美術大学染織デザイン専攻卒業。オリジナルの紙や和紙、書を主体とした制作に携わり、現在はアーティストとして活動中。