金と銀の顔料を使ってみよう〜クサカベのエフェクト顔料〜

金と銀の顔料を使ってみよう〜クサカベのエフェクト顔料〜

西洋東洋を問わず、金色と銀色は絵画制作に欠かすことができない素材です。しかし、同時に非常に高価。例えば、PIGMENT TOKYOで取り扱う純金や純銀を粉末状にした商品は、このくらいの価格です。広い面積に使うには少々費用がかさんでしまいます。

 

純金消 正五毛 0.4g

 

そこで使用いただきたいのが、こちらの株式会社クサカベから出ているゴールド・シルバー系のエフェクト顔料です。


クサカベ ゴールド

クサカベ グリーンゴールド

クサカベ パールゴールド

クサカベ パールシルバー

クサカベ パールブロンズ

 

これらはフレスコ画やテンペラ画を制作する人のために厳選された顔料です。その他のメディウムと混ぜることで、水彩絵具やアクリル絵具などの絵具を作ることができます。
ゴールドとグリーンゴールドは真鍮を、パールゴールドとパールシルバー、パールブロンズは酸化チタン被覆雲母で組成されています。酸化チタン被覆雲母とは雲母をチタンでコーティングしているということを意味します。

全体的にサラサラとした質感でダマになりにくいので、他のエフェクト顔料と比べて少し扱いやすい印象を得ます。しかし比重が軽いため、メディウムと混ざりにくい傾向があります。水溶性メディウムと混ぜる場合は、こちらの水性顔料用の分散剤を使用すると絵具が作りやすくなります。また膠と混ぜることで、日本画の絵具としても使用できます。

 

クサカベ 水性顔料 分散剤

 

下地が白と黒でどのような変化があるのか見てみましょう。
今回は平面に塗ったものを、曲面のオブジェクトに貼り付けて撮影してます。。

エフェクト顔料は一般的なピグメントと比べると隠蔽力(下の色を覆い隠す力)が弱く、下の層に影響を受けやすいものが多いです。そのため、黒い色を下に塗ることでエフェクト顔料特有のキラキラとした質感を強める効果があります。

吸収性のある水彩画用の紙に塗ったためか、白地に塗った時は適度なマットさもありつつ、光沢感は控えめになりました。塗り重ねを行っていませんが、何回か重ね塗りをするとより光沢感を得ることができるでしょう。
ちなみにこのシリーズは偏光顔料ではないので、角度を変えても同じ金属系の色が見えます。

 

【使用画材】
色材:クサカベゴールド、グリーンゴールド、パールゴールド、パールシルバー、パールブロンズ
メディウム:クサカベ アラビアゴム
基底材:竹和紙 水彩画用

 

ベースを黒くしたことで、先ほどより光輝感が出ていることがわかります。

ただ、黒地にすることで刷毛目が目立ってしまうため、フラットにしたい場合はエアブラシを使うか、アクリル絵具で重ね塗りをするなど、塗り方を工夫する必要があるでしょう。

筆のムラを生かし、まるで箔が重ねて貼った(箔押し)ような表情も作ることもできます。


【使用画材】
色材:クサカベゴールド、グリーンゴールド、パールゴールド、パールシルバー、パールブロンズ
   アクリル絵具
メディウム:クサカベ アラビアゴム
基底材:竹和紙 水彩画用

 


下の画像は木製のオブジェクトに軽く目止めをして中央にゴールドを、上部にグリーンゴールドを塗装しました。
実際に箔を押したものと比べると、色艶は異なりますが、本当に金粉を塗ったかのようにも見えます。
左の部分はクリアジェッソの上に塗装、中央はジェッソの上から黒いアクリル絵具の上に塗装、そして一番右は白いアクリル絵具の上に塗装しています。
ただ、こちらのメディウムは乾いても耐水性になりません。長期展示や塗る素材によっては、アクリルエマルションなど乾燥後に耐水になる絵具を使用するのがおすすめです。

 

【使用画材】
色材:ゴールド、グリーンゴールド、パールゴールド、パールシルバー、パールブロンズ、クリアジェッソ、アクリル絵具
メディウム:クサカベ アラビアゴム
基底材:木


箔が押せないようなデコボコとしたオブジェクトや、広範囲な面の塗装など、このピグメントだからなせる応用方法を見つけてみてください。

 

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。