数多の画材の中でも一言に青といってもさまざまな種類の青があるように、金にも色々な種類の「金色」があります。
金は国や宗教を問わず人々を魅了し、それと共にアートの発展と金はある意味で切り離せない関係にあるのではないでしょうか。
今回は金色の画材の一つ、「金箔」は色々種類がありますが、でも「そもそも何がどう違うの?」という疑問を、今回は5種類の金箔で探ってみます。
日本で使われている金箔には、今回比べる純金箔と洋金箔と、それ以外に新光箔の「純金色」というものもあります。
どれも「金色」の箔ですが「金が含まれているか」という違いがあり、洋金箔と新光箔は金が入っていません。
それでは、それぞれの金箔が何でできているのか見てみましょう。
純金箔は、純金100%ではなく純金と少量の銀と銅で合金されています。純金100%の金箔もありますが、画材店で販売されているものの多くはこの銀銅の合金です。
一方、洋金箔は銅と亜鉛の合金箔でできており、青口・赤口という種類があります。
さて、下の写真は、今回ご紹介する金箔です。
微妙な色の違いが見分けられますでしょうか。
答え:
(上段 左より)純金箔 四号、純金箔 正五毛、純金箔 三歩
(下段 左より)洋金箔 青口、洋金箔 赤口
色の違いは金属の含有率によってもたらされおり、同じ純金箔でも金の含有率の違いにより色味も異なります。
洋金箔も同じで、赤みのある銅が多い赤口は、わずかな比率の違いですが青口と比べて少し赤みが感じられます。
あと、日常では聴き慣れない箔の名前。
純金箔には正五毛(ショウゴモウ)、四号 、三歩色(サンブショク)など、付いていますが、色の名前にはどのような意味があるのでしょうか。
純金箔の名前には、製法の違いと金属の含有率が影響しています。金属の含有率の違いから名称や価格が変わります。金の含有率が高いものから、五毛色(ゴモウショク)・一号・二号・三号・四号・三歩・定色と呼ばれます。
商品名の最後に、「 断切(タチキリ)」「縁付(エンヅケ)」とありますが、これは何が違うのでしょう。
箔は叩いて薄くのばされたものなのですが、ここまで薄くするためには何万回も叩かれています。その為、箔と箔の間には耐久性と柔軟性のある「箔打ち紙」と呼ばれる伝統的な和紙が挟んであります。
この打ち紙でつくられた金箔を「縁付」箔と呼びます。
対して、箔打紙を簡易的な紙(グラシン紙)で製造したものが「断切」箔です。
「縁付」箔は、打ち終わったあと一枚一枚手作業で正方形に裁断するのですが、「断切」箔は合紙ごと一気に裁断されます。
今度は金箔を貼ってみます。
種類による特徴を比べてみましょう。
純金箔はとても薄いので、わずかな息でも飛んでしまいます。
洋金箔は乾燥している手で持ち上げることができることがありますが、箔はとてもくっつきやすいので、ボディパウダーなどを手や箔箸に付けて取りやすくします。触って比べると全く違う箔であることがわかります。
PIGMENT TOKYOでは、金箔以外の色箔も使ってみたい方や、もっと気軽に楽しみたい方向けのセットもご用意しております。
金箔から垣間見える、金属の画材の美しさに出会えるかもしれません。