絵具の素「水干」とは?

絵具の素「水干」とは?

PIGMENT TOKYOの店内には、「絵具の素」になる色材がたくさんあります。

その中でも、色数が多く、岩絵具よりも価格が手頃なので、初めての方でも手に取りやすい顔料のひとつとして水干(すいひ)が挙げられます。

その特性や使い方を知って、さらに効果的に使ってみましょう。

 

 

 

 

そもそも水干とは、一体どんな顔料でしょうか。

素となる主な素材は、貝殻から作られた顔料の一種「胡粉」で、それに着色したものが水干です。

“スイヒ”の語源は「水」で精製し「干」しあげるので、“水干” 。

また、水干絵具の仲間として天然の土絵具があります。こちらも同様に、貝殻の代わりに土を「水」で精製し、「干」し上げて作られています。

 

どのような特徴があるのか見てみましょう。

 

 

 

 

水干は板状の顔料なので、細かくしてから使います。

比較的柔らかい顔料なので、少量でしたら二つ折にした紙に水干を挟み、紙の上から棒などを転がしてすり潰すこともできますが、量が多い場合や藍色などの少し固めの色は、乳鉢で潰した方が滑らかに細かくできます。

また、顔料単体では糊材となるメディウム(展色材)は入っていないので、用途に合わせて入れてください。

 

初めて作る方は、下記の作り方や画像、Instagramの動画をご参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

脚注:

3.空ずりした水干に牛膠を入れたところ。

こちらは「珊瑚色」という色です。

 

 

 

 

脚注:

4.練っていくうちに固さが出てきたので、膠を足して、更に練り上げました。

この段階で良く練ることで、滑らかな絵具になります。

 

 

Instagram Live動画

水干・胡粉 https://www.instagram.com/tv/CEn9q3AHX9K/?utm_source=ig_web_copy_linkk

 

 

ご紹介した商品はこちらです。

 

 

 

 

 

では、水干を絵を描く時に使用すると、どのような効果があるのでしょうか。

 

 

 

 

単色でも発色が良く、色のきれいな顔料ですが、下地としても使えて混色もできます。当店には約70色ほどの水干がありますが、混色することで更に色数も増えるので、多彩な作品にも活用できます。

 

実際に、重色と混色をしたものはこちらです。

 

 

 

右:【重色】上から、白緑(単色)、白緑に美群青を重ねた色

左:【混色】上から、美群青(単色)、美群青×白緑(美群青の分量を変えて塗布)

 

 

 

 

右:円子(単色)

中央:【重色】円子×黒群青

左:【混色】円子×黒群青

 

 

 

下地に使う際には、色の組み合わせで重ねの色味が異なりますし、濃淡や、塗り方の違いで色に深みの出方もさまざまです。

また、表現に合わせて色の掛け合わせや色の重ね方や紙を変えたり、上塗りに他の顔料などを併用すると、表情の違いも楽しめますので、お試しください。

白石 奈都子

PIGMENT TOKYO

白石 奈都子

多摩美術大学 染織デザイン専攻卒業。オリジナルの和紙、書を主体とした制作に携わり、アーティストとして活動中。

多摩美術大学 染織デザイン専攻卒業。オリジナルの和紙、書を主体とした制作に携わり、アーティストとして活動中。