新岩絵具+エフェクト顔料が奏でる色彩と分離色

Color and its Marble Effect Caused as a Result of Mixing Shin-iwa Pigments and Effect Pigments

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PIGMENT TOKYOでは、記事コンテンツやワークショップなどを通して、様々な種類の絵具の作り方をご紹介しております。自分で絵具を作ることの最大のメリットは、世界にひとつだけのカスタムをした色が作れるということにあります。


通常の画材店では流通していないようなエフェクト顔料や古今東西の色材を、好みのメディウムと混ぜて作ることは、一見大変そうに見えますが慣れてしまえば難しいことではありません。

「これとこれを混ぜるとどんな色になるのだろう」と実験をしながらオリジナル絵具を作っていく過程は、チューブ絵具にはない楽しい時間を提供してくれます。


今回は「ミラバルカラーで楽しむオーナメント作り」、「現代の新しい岩絵具」と「宝石の輝き、ジェムトンシリーズ」、そして「人気エフェクト顔料で遊ぼう」の記事でご紹介した色材を混ぜて、エフェクト顔料のキラキラを加えた岩絵具を作ってみました。以前の内容と見比べながら、1つの種類の顔料で練った場合と、混ざった場合でどのような変化があるのか、観察してみましょう。

エフェクト顔料が岩絵具へどのような作用を与えるのかを確認しやすくするために、岩絵具は吉祥の水色群青12番に統一しました。


エフェクト顔料は粒子が細かく、比重の軽いものが多いため、岩絵具を混ぜる場合は番手の細かいものを使用することで、綺麗に混ぜることができます。あえて比重差を使って行う表現もあるのですが、それは記事の後半でご紹介します。



それではまず、ジェムトンシリーズと水色群青12番を混ぜてみましょう。比率は体積比で1:1を目安に、アクリルエマルションのメディウムを混ぜました。




エフェクト顔料は基底材の色で発色が左右される為、右側は白地に、左側は黒い下地に塗装しました。



【使用画材】

色材:ジェムトンエメラルド、ジェムトントパーズ

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


岩絵具を混ぜているため、ジェムトンシリーズ単体で使用した場合と比べて、光沢感が抑えられています。それぞれのジェムトンシリーズに水色群青のグレーズが薄くかかったような色味を作ることができました。

光沢感は黒ベースに塗った方が強く、どちらも同等の岩絵具を混ぜたことによる効果を得ることができました。



次はミラバルシリーズと混ぜてみましょう。



【使用画材】

色材:ミラバル シーニック ホワイト、ミラバル ロイヤルトゥインクル 5401

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


白系下地と黒系下地で大きく色が変化するミラバルシリーズ。

シーニックホワイトは岩絵具の影響を受けて、ブルーシルバー系の涼しげな色に仕上がりました。黒い下地に塗ることで、より重厚感のある銀色になります。

顔料単体だけではほぼ白い粉のロイヤルトゥインクルは、水色群青が加わることで明度が少しだけ下がり、角度によって薄紫色が現れました。黒地の場合は、単色で塗った場合と同様、赤紫系の強い色を作ることができます。



最後に、シラリックシリーズのマイクロシルバーです。



【使用画材】

色材:シラリック T61-10 マイクロシルバー

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用



色味の近いミラバル シーニックホワイトと比べると、より冷たさがある金属系の色を作ることができました。こちらの色も黒地の方が光沢感があり、白地の場合は光の反射が控えめです。



これ以外にも、エフェクト顔料と岩絵具を混ぜた絵具は面白い表情を私たちに見せてくれます。

記事の序盤でもご紹介したように、エフェクト顔料は粒子が細かく、比重の軽いものが多いため、比重が重い顔料と混色をすると上手く混ざらなかったり、途中で分離してしまうことがあります。その現象を逆手にとり、上記の絵具を使って分離色を作ってみましょう。



使用するのは、同じく吉祥の水色群青12番です。

あらかじめ基底材を筆で湿らせたのち、水をたっぷり含んだ筆で絵具をとり、画面に着彩します。

あらかじめ画面を黒くしたい場合は、耐水性の下地を作らないと絵具が動いてしまいますので、アクリル絵具などで下地を作成してください。


今回の記事で使用したエフェクト顔料の中のうち、面白い表情が出たものをピックアップしてみました。



【使用画材】

色材:ジェムトンエメラルド

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


ジェムトンエメラルドと水色群青12番の分離色は、色付けした金属箔のような質感を作ることができました。

平塗りをした場合は黒地の方が光沢感があったのですが、水をたっぷり含ませた場合は白地の方が少し光を多く反射しました。ただし、メディウムや色材の量が平塗りをした時よりも少ないため、下地の色が少し透けていることがわかります。



【使用画材】

色材:シラリック T61-10 マイクロシルバー

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


シラリック マイクロシルバーの場合、白地は空と雲のような分離色となったのに対して、黒地は曇ったアルミニウムのような重い金属色となりました。ベースの色が白と黒でここまで色の見え方が変化するとは驚きです。



【使用画材】

色材:ミラバル ロイヤルトゥインクル 5401

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用


ミラバル ロイヤルトゥインクルは今回の色の中で最も綺麗に分離しました。特に白地に塗った時の水色から紫色のグラデーションが美しく、また視点を変えると岩絵具とロイヤルトゥインクルの質感の差が出て面白いです。

適度な光沢感も有しており、黒地でも赤紫から青紫までの絶妙なグラデーションが波紋のように広がっております。



このように岩絵具とエフェクト顔料を混ぜることで、思いもよらかなった色彩とマチエールを得ることができました。

今回は新岩絵具を使用しましたが、これを天然岩絵具に置き換えても良いでしょうし、重金属系の顔料とエフェクト顔料を組み合わせてみたりなど、日本画画材ではない組み合わせも、面白い表情を見せてくれることでしょう。


大量に水分を加えてしまうと接着力が落ちて絵具が剥落してしまう可能性もあるため、ご注意ください。

またエフェクト顔料は種類によって画面に定着しにくいので、通常の顔料よりメディウムを多めに添加してください。


異種同士のピグメントを混ぜてみたり、それをあえて絵具を分離させてみたりと、応用的な色材の表現方法を探れるのは、まさに手作りの絵具ならではの醍醐味です。

ぜひ、当ラボの素材で絵具づくりに挑戦してみてください。

Profile

大矢 享

Art Materials Expert at PIGMENT TOKYO

AKIRA OYA

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.