端渓硯は中国の硯における代名詞的な存在です。石のモース硬度は3.5と比較的柔らかく、その柔らかさ故に彫りを施しやすいため、装飾的な物が多くあります。また種類が豊富で採掘される抗窟で石質、名称が異なります。最上のものは川の水が流れ込む「老坑」と呼ばれる抗窟から採取したのもので、その肌合いはきめ細かく非常に滑らかです。それ故に墨を非常に滑らかに磨り下ろせ、水持ちが良く、磨った墨が乾きにくいのが特長です。それ故に油煙墨との相性がよいです。また、硯面に現れる石紋が幅広く豊かで、その紋一つ一つに名称が付けられているほどです。