水墨画を描く上で欠かすことができないのが文房四宝。
これは筆と紙、墨、硯を含めた書画用品のことです。こうした文具に人々が興味をもち、美の対象となり始めたのは漢代(BC206年〜220年)までさかのぼると言われています。そしてこれらは朝鮮半島の高句麗を経由して7世紀ごろ、製紙技術と共に日本へと伝来しました。
こうした文具の需要が高まった理由のひとつとして仏教が挙げられます。写経の書写材料として用いられたことで、その技術も向上しました。
もちろん文房四宝とされるもの以外にも、書画にまつわる道具は美術品として珍重されてきました。そうした道具を今回ご紹介します。直接的に基底材や描画に影響がないものにも並々ならぬこわだわりを見せるのは、東洋美術ならではの美学と言えるでしょう。
ー水滴
「墨に五彩(ごさい)あり」という言葉があるように、墨は煤と膠という非常にシンプルな素材から多様な色彩を表現することができますが、その影の立役者は水です。
例えば硯で墨を「する」ことを表す場合、「磨く(みがく)」を意味する漢字を使い「磨る」と表記します。
特に磨りはじめの時の水分調整は非常に重要で、水を少量ずつ落としながら硯の丘(※陸と称する場合もあります。)で、とろみが出るくらいゆっくりと磨りおろします。
PIGMENT TOKYO ARTICLES「硯を知る — 端渓・歙州 —」より
その時に使うのが、この水滴です。水を適量添加して墨と硯をこすり合わせないと、うまく墨液が作れなかったり、硯を傷つけてしまいます。
こちらの画像は、PIGMENT TOKYO取扱いの「水滴 陶器染付 丸」と「水滴 陶器染付 角」です。
非常に可愛らしい形状をしており、ほんの少し水を差す時におすすめです。
上から見るとこのような柄が描かれております。
穴がふたつ空いているのは、片方を指で抑えることで添加する水分量を調整させるためです。
日本で過ごしたことがある方であれば、醤油をさす瓶の構造で馴染みがあるかもしれません。
詳しい墨の磨り方は、当ラボの動画コンテンツもご覧ください。
【TUTORIAL】Rubbing Sumi Ink-stick/墨の磨り方
玄武をイメージした、銅製の水滴というものもございます。こちらは中国の四神のひとつで、霊獣のモチーフとしても扱われます。長寿と不死の象徴である亀と、繁殖の象徴である蛇、ふたつが合わさっており、冥界の使いでもあるとされています。
水滴 古銅水注 玄武 ¥11,000 税込
近くで見ると、足の爪までしっかりと掘り込まれています。
墨を磨った後の墨液の濃度調整には、こちらの少し大きな水滴もおすすめです。
水滴 饅頭型 青花 ¥2,750 税込
ー筆置
作業中に筆を仮置きするための筆置も、ご用意しております。
こちらの青磁と鉄鋳でできたものは小ぶりなため、5本以下の少ない本数を使用したい時にはぴったりです。
天然の唐木製や紅木製の大きな筆置もございます。実用性以上に、見て楽しめるのも書画用品の魅力です。
筆置 / 天然唐木 ¥3,850 税込
文房四宝には「文房四友」という別称もあるといいます。
まさに道具は愛でるための宝でもあり、良い仕事をするための友でもあるわけです。
お気に入りの一品を、PIGMENT TOKYOで見つけてみてください。