私のおすすめ「ユニペーパーα」

私のおすすめ「ユニペーパーα」

現役アーティストがスタッフとしても活躍しているPIGMENT TOKYO。

当ラボでは東洋画材だけに止まらず、古典絵画技法の材料から最新の画材まで、多種多様なアイテムを取り揃えております。

そんな中、画材エキスパートたちは実制作でどのような画材を使用しているのでしょうか。

 

今回は箔を用いてアート作品を制作している能條雅由さんへ、普段使用されている画材について質問をいたしました。一体どのような素材から彼の作品が生まれてくるのか、その秘密に迫ります。

 

ー以前の記事で作品コンセプトについてお伺いしましたが、これらはどのようなプロセスで制作をされていますか。

まずユニペーパーを張り込んだパネルの上にアクリル絵具を流し込んでいき、マーブリングのような下地を作ります。その後シルクスクリーンを用いてイメージを再構築しますが、私は絵具を使うのではなくアクリルメディウムを糊代わりに銀箔とアルミ箔で作ります。そうして出来上がったイメージの上に情報量の異なるイメージを重ねていきます。そうすることで、グレースケールの幅を広げながら、情報量を増やしていくことができます。それによって写真のように見える部分と、箔が反射して平面的に見える部分とが画面の中で揺れ動きながら1つの現象のように現れます。

 

PIGMENT TOKYO×画材エキスパート vol.2~能條雅由~

 

 

ー具体的にどのような商品を使用されておりますか?

PIGMENT TOKYOで取り扱っているものですと、銀箔とアルミ箔、ジェルメディウム、顔料ペーストも使用しています。

 

 

 

 

 

 

ー不思議な支持体を使われていますね。

こちらはユニペーパーαというものをパネルに張り込んで使用しています。

以前までは膠と石膏を混ぜたパテを下地に使っていました。

ただ、塗布した後、乾燥させ研磨が必要だったため、大作の場合は下準備でかなり苦労いたしました。

しかし、このユニペーパーαは平滑な上に、サイジングやドーサをしなくても平滑な下地と同じ効果が得られるため、よりスピーディーに作品制作に取り掛かることができるようになりました。

また、水に強いポリプロピレンを主成分としているので、保存性にも優れているのも特徴です。更に最大310cm巾×10m巻までラインナップされているため、大作を制作するのにも適しています。

 

Solo Exhibition "Under the moon light"

@JD MALAT Gallery / London

 

 

ーその他に、どのような特性があるのでしょうか。

アクリル絵具など樹脂との相性が非常に良く、また膠を用いた岩絵具や箔貼り・ 鉛筆での描画にも適しています。油絵具の場合でも下地を作ることで定着させることが可能です。

また表と裏の差がなく、インクが反対の面へ影響しにくいため、両面をご使用いただくこともできます。

 

 

 

ーこちらの表紙は能條さんの作品が使用されているのですね。

この基底材は京都芸術大学(旧・京都造形芸術大学)とマルオカ工業株式会社の共同研究で商品化されたのですが、当ラボでの取り扱いにあたり私の作品を表紙に採用していただきました。

A4サイズ×10枚(297×210mm)、F6サイズ×40枚(409×318mm)と2つのラインナップをご用意しております。「試しで使ってみたい」という方にはこちらの商品をお勧めしております。

(※1m×10mロールもお取り扱いしております。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

 

 

 

 

ーこのユニペーパーはどのように利用すれば良いのでしょうか。

前述の通り非常に耐久性の高い紙ですので、そのまま額装してご利用いただけます。

また、専用の糊材を使用してパネルへの張り込みも可能です。ただユニペーパーは非常に薄く、張り込みが少々難しいため、希望の方はこちらのフォームから見積もりをお問い合わせください。

 

https://pigment.tokyo/pages/contact?large_orders=selected

 

ー今後、どのような材料にチャレンジしてみたいですか。

アイディアは色々とありますが、現在樹脂と薬品を用いた作品のテストを新たにしています。次の個展の際にこれまでのシリーズと併せて発表できればと考えています。

 

ー最後に、何か告知などあればお願いします。

9月27日まで明治神宮で開催されている、神宮の杜 芸術祝祭のプログラムの1つである「紫幹翠葉」展に参加しています。アクリル板を基材に用いた春日衝立を出品しておりますので、是非足をお運びください。

この展覧会では、現代アーティスト達が、明治神宮やその鎮守の杜に思いを寄せ、自然や暮らしを対象に畏怖と尊敬、情熱を込めて制作した作品を中心に展示を行います。参加する現代アーティストは、40名。その表現の形として選んだのは、屏風、掛け軸、衝立(絵画)、扇面といった日本古来の様式です。特に、扇面形の絵画作品は、実力と才能を兼ね備えた注目の現代アーティスト30名に依頼。それらが1つの壁面に展示されます。

素晴らしい明治神宮の緑と共に、澄んだ表現の数々を堪能してください。

 

 

 

 

展覧会情報

 

 

・住所

〒160-0013

東京都新宿区霞ヶ丘町1-1

 

・交通案内

JR中央・総武線「信濃町駅」より徒歩5分

都営大江戸線「国立競技場駅」より徒歩5分

東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目駅」より徒歩10分

 

https://jingu-artfest.jp/shikan-suiyo/



こちらの展示は終了しております。

 

・プロフィール

 

能條雅由

 

撮影:Universal Music Art Project

https://www.universal-music.co.jp/artproject/

 

個展:

2020 JD Malat Gallery(ロンドン)

2017 「Mirage」 Tokyo Arts Gallery (東京)

2016 「Mirage」 Gallery Art Composition(東京)

 

グループ展:

2019 Universal Music Art Project 17(東京)

JD Malat Gallery グループショー (ロンドン)

下鴨文化茶論 (京都 下鴨茶寮)

2018 JD Malat Gallery グループショー (ロンドン)

下鴨文化茶論 (京都 下鴨茶寮)

2017 완.완.완(刓.婉.完)グループ展 (Ujang art gallery ,ソウル 韓国)

2015 Brilliant Corners (Tokyo Arts Gallery 東京)

アートアワードトーキョー丸の内2015(丸ビル1F 丸キューブ 東京)

混沌から躍り出る星たち2015 (スパイラルガーデン 東京)

栗和田栄一特別賞展 (佐川美術館 滋賀)

 

アートフェア:

2019Contemporary Istanbul 2019 (JD Malat Gallery /トルコ イスタンブール )

Art Central Hong Kong 201 (Gallery Art Composition / 香港 Central Harbourftont)

ZONAMACO 2019(JD Malat Gallery / メキシコ メキシコシティ)

2018 KIAF 2018 ART SEOUL(Gallery Art Composition / ソウル COEX)

VOLTA NY 2018 (Gallery Art Composition / ニューヨーク PIER 90)

ART FAIR TOKYO 2018 (Gallery Art Composition / 東京国際フォーラム )

ARTIST'S FAIR KYOTO(京都府京都文化博物館別館 )

2017ART JAKARTA 2017(Gallery Art Composition /インドネシア ジャカルタ)

ART FAIR TOKYO 2017 (Gallery Art Composition / 東京国際フォーラム)

2016ART OSAKA 2016(Gallery Art Composition ホテルグランヴィア大阪)

ART FAIR TOKYO 2016(Gallery Art Composition /東京国際フォーラム)

2015ART TAIPEI 2015 (台北 台北ワールドトレードセンター)

 

学歴:

2015 京都造形芸術大学大学院 修了

2013 京都造形技術大学 卒業

 

受賞歴:

2014 京都造形芸術大学大学院修了展 佐川美術館 栗和田榮一 特別賞

2013 京都造形芸術大学卒業制作展 学科賞

Arts Bar 2013 京の創造 最優秀賞

ALBION AWARD 2013 入賞

TURNER AWARD 2013 優秀賞

TOKYO WONDER SEED 2013

 

プライベート、パブリックコレクション多数

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。