日本は四季によって気候が大きく変わるので、その節目に衣替えや室礼を替えます。また、素材や機能性のあるものだけでなく、季節に合わせてインテリアの色やデザインを変える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も季節が変わるといつもとちょっと違うことがしたくなり、模様替えに合わせてステンシルをしてみました。
今回は、身近な画材でご自宅でも作れるステンシルをご紹介します。
ステンシルとはアートやデザインの技法のひとつとしても用いられますが、絵や文字の型に色材などを塗布して、形を表す表現です。日常生活だと、ネイルやDIYなどで経験された方もいらっしゃるかと思います。
では、画材と作り方をご説明していきます。
■画材と道具
・お好みの色材(絵具、パステルなど)
・筆、スポンジなど
・型(既製のものでもOK)
・ステンシルする基底材(紙、木材など)
・型を作る道具(型紙用シート、カッターなど)
・筆洗(筆を使う場合)
なお、今回は絵具を使った一例をご紹介していますが、インクやエアスプレー、市販のカラースプレーを使うなど、色材も方法も多種多様です。好きな画材や技法をお選びください。
①画材と基底材の準備
作りたいものや用途によって、使う画材も変わってきます。
耐久性・耐水性が必要な場合は、乾くと耐水性になるアクリル絵具かアルキド樹脂絵具AQYLA(アキーラ)をご用意ください。
特にAQYLAはガラス、プラスチック素材にも描くことができ、重ね塗りもできるアクリル絵具は水性で扱いやすく、乾くと耐水性になるのでおすすめです。
また、乾燥までに時間がかかりますが、油性アルキド樹脂絵具Pebeoが得意とする「プリズム」表現を金属やガラス、陶器などにも使用できます。この絵具は乾燥するにつれて「ハチの巣」ような模様が現れます。
柔らかいテクスチャーなので、マスキングテープなどでしっかりと塗らないところを養生してから塗布するなど、支持体との相性も見ながらお試しください。
気軽にステンシルをしたい方や、小さいな絵画のように楽しみたい方は、ドライパステルもおすすめです。指やティッシュなどでぼかしながら色を重ねることもできますので、少ない道具でステンシルを楽しめます。
なお、パステルは紙面への定着が弱いので、仕上げにフィキサチーフなどの定着剤をご使用ください。
こちらは秋に作ったステンシル。葉の形に切り抜いた型紙を当てて、ドライパステルで塗りました。
ゴンドラパステルは、1本が小さめなので面塗りもしやすく、また多彩な色が揃っており、初めてお使いになる方にも使いやすいソフトパステルです。桐箱に入っているので贈り物にもいかがでしょうか。
②デザイン構成/型を作る
型をご自身で作る方は、薄手のプラスチックプレートや耐水効果のある型染め用の紙、または厚手の紙などに、好きなデザインや文字を印刷またはトレースしたものを切り抜いてください。
パステルやスプレーなどの比較的水分が少ないものでしたら、コピー用紙でも可能です。
こちらは型紙に印刷したものです。
もっと気軽に作りたいな、という方は市販の型をお使いください。また、模様や文字のクラフトパンチなども活用できます。
細かいところや曲線部分はマスキングインクを併用してもよろしいかと思います。
③ステンシル
デザインと型ができたら、いよいよステンシルです!
筆で塗ってもいいですし、スポンジなどでポンポンと叩きながらテクスチャーを生かしても、味が出ます。
また、はっきりと形を出したい時はしっかりと塗り、形や色を柔らかいニュアンスで表現したい方はぼかしながら塗り込むなど、同じ形でも色材の扱い方で変わるところも楽しみかたの一つではないでしょうか。
但し、絵具が乾く前に型を外すと、絵具が型に付いてせっかく描いた形が崩れてしまうこともあるので、 お気をつけください。
こちらは、クリアフォルダにマスキングテープで形を作って、アキーラを塗ったところです。少し立体感をつけて塗っています。
1色で作っても良いですし、重ね塗りをしてさらに奥行きのある色味を作ることもできます。
金属やガラスの鏡面素材へアクリル絵具を使用する場合、固着力をさらに強めたい方は、こちらの下地処理材をお使いください。
④できあがり
乾いたら、できあがりです。
透明なものだと、下に写真や絵など入れることによって見え方も変わる面白さもあります。
先程の型を使ってステンシルや箔を散らすと、オリジナルのカード作りもできます。
ステンシルは、初めて画材を使う方やお子様と一緒に楽しむこともできるので、気軽に始められます。好きな色やものを取り入れて、生活に“アート時間”をいかがですか。