アルキド樹脂絵具のPébéo(ペベオ)を使ってみよう

アルキド樹脂絵具のPébéo(ペベオ)を使ってみよう

アルキド樹脂とは塗料や接着剤、可塑剤などに用いられる合成樹脂です。

使いやすく乾燥も速いことから、工業系の塗料用樹脂として広く使用されているメディウムのひとつです。

ファインアート用の画材においては、リンシードオイルをはじめとする乾性油と混ぜることで、乾燥を促進させる油絵具用のメディウムとしても親しまれています。

その中でもとりわけ異彩を放つ絵具が、フランスの絵具メーカーのPébéo(ペベオ)より販売されている、油性アルキド樹脂絵具のヴィトラーユプリズムです。



ヴィトラーユはキャンバス、紙、ガラス、金属に描くことができ、高透明で艶のある仕上がりが特徴の絵具です。漆のような質感も魅力で、アーティフィシャルな絵肌を楽しむことができます。

絵具の粘性が低く、とろっとしています。そのため、筆やスポイトを使って躍動感のある線の表現や、ボトルから直接垂らして、ペインティングナイフで描くこともできます。

油性の絵具なので、アクリル絵具などの水系絵具の上から描画することも可能です。



 

ペベオ・ジャパン株式会社「ヴィトラーユ」商品ページでの掲載画像




プリズムは、絵具が乾燥するにつれてハチの巣模様の効果が出てくる、不透明で艶のある溶剤系絵具です。ヴィトラーユ同様、粘土が高いのでスポイトや筆を使って塗布することができます。

しっかりとしたハチの巣模様を得たい場合は、厚めに塗るとその効果を存分に得ることができます。

 

 

(左)PIGMENT TOKYOの商品ディスプレイ

(右)ペベオ・ジャパン株式会社「ヴトラーユ」商品ページでの掲載画像(https://www.pebeo.co.jp/products/fineart/0032-vitrail.html)



キャンバス地に着彩すると、このような色味になります。表面乾燥の目安は約6時間ほどです。

透明度が非常に高いため、ヴィトラーユとプリズムを組み合わせることで、このような多層的にレイヤーを重ねた表現も可能です。水系塗料にはない滑らかな光沢と強靭な塗膜が得られます。

 

 

こちらのサンプルは店頭にも展示しております

 

透明なアクリル樹脂の板に描くと、ツルツルとした面でもしっかり固着するのは、アルキド樹脂ならではの特性です。

しっかり固着させたい場合はガラス用のプライマーなどを事前に塗ると、よりしっかりと定着し着彩が可能になります。



ファインアートの他には、ホビー用途でもペベオのヴィトラーユとプリズムは活躍します。

当ラボの記事の「Pebeoヴィトラーユとファンタジープリズムで作るホビー作品」にて、怪獣の造形制作などを行う「我が家工房」に作っていただいたサンプルがこちら。

 

 

我が家工房のオリジナル怪人「青色節足人デムシロン」の一部



ヴィトラーユを用いてコガネムシのような発色を作り、目の部分はGSIクレオスのMr.カラーのクリアレッドを使用。下地には、蛇腹部分と同様にソフビカラーのゴールドが使われています。

こうした併用が可能なのも、アルキド樹脂の強みです。

油絵具でもアクリル絵具でもない、ヴィトラーユプリズムの少し不思議な質感をぜひ作品に取り入れてみてください。




※こちらの商品は原料の都合上、天王洲のリアルスペースでの販売と国内配送のみの対応となっております。ご了承ください。

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。