PIGMENT TOKYOでは多種多様な絵画材料を取り扱いしております。
とりわけ店頭のメインビジュアルにもなっている色材は、日本画・水彩画・油彩画などジャンルの垣根を超えて、お好みのメディウムと練り合わせて使用できます。
当サイトではこれまで水彩絵具とアクリル絵具の作り方をご紹介してきました。
今回は、油絵具作りにおすすめの商品とメディウムをご紹介します。
まず最初に、ご用意いただきたい商品はこちら。
顔料とメディウムを綺麗に練り合わせるためには、マーラーの重さを利用し一定の圧をかけて練り続けることが求められます。
また大理石板はお菓子作りにも使用されるほど温まりにくく、熱伝導率が低い素材です。
絵具づくりは温度管理が要。
メレンゲ作りで温度が大切なことと同じように、絵具は少し温度が上がるだけで状態が変化するため、一定の温度で作業を進めなくてはなりません。
加えて、適度な重さにより、硬めの絵具を練る時のズレを軽減してくれます。
初めての絵具作りで、これらのセットを揃えるのはハードルが高いなという方には、ペーパーパレットとパレットナイフでも代用ができます。
油系のメディウムとしてオススメしているのはこちらの商品。
水系絵具と異なり、油絵具は使用する顔料によって要するメディウム量が大きく変化します。
そのため、初めて使う色の場合は調整をしながら使用ください。
この顔料を油と練り合わせてペースト状にするために必要な油の量を、給油量といいます。
当ラボ記事の読者の中には「油絵具は油がメディウムの絵具なのだから、ペインティング用のリンシードオイルを混ぜればいいのではないか?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
確かに画用液と顔料を混ぜることで、油系の絵具を作ることができます。
しかし、このKUSAKABEのオイルカラーメディウムには、絵具を練りやすくするための秘密が隠されています。
まず主材としてサフラワーオイルを使用していること。
このオイルは紅花の種から搾ったもので、リンシードオイルと比べて乾燥速度は遅いものの、黄変が少なく白系の顔料を中心とした淡青な色にも使用ができます。
ふたつめはステアリン酸が添加されていること。
なかなか聞きなれないこの材料名ですが、これが絵具作りの縁の下の力持ちになっています。これはヤシの木から抽出された成分で、常温では固体の物質です。
こちらが添加されることでオイルのみに比べ、絵具のコシが強まるほか、顔料と分離しにくくなります。
(※ステアリン酸のみでの販売はしておりませんのでご了承ください。)
さらに体質顔料を添加することで、色味や描き味に変化を加えることができます。
一見するとホワイト系顔料のようにも見えるこちらの商品は、メディウムと混ざることで半透明になります。
これを加えることで、顔料の色味に若干の変化を与えたり、絵具の安定性を向上させます。
当ラボでは炭酸カルシウムという体質顔料を販売しており、他にはアルミナホワイト、硫酸バリウムなどがございます。
また、チューブ入り油絵具に体質顔料を練り合わせることで、より肉厚な絵画表現をすることも可能です。
ただし保存性や耐光性の観点からトラブルが発生する可能性があるため、大量に加えることはおすすめできません。
必ずエチュード(習作)で実験をしてから、ご使用ください。
では実際に絵具を練ってみましょう。
まず、使用したい顔料とメディウムをペインティングナイフで練り合わせます。
硬さがあって混ぜにくい場合は、更にメディウムを加えてください。
体質顔料を使用する場合は、この段階で添加を行います。
その後、8の字を描きながら、絵具に艶が出て滑らかになるまで練ってください。
この作業をすればするほど、メディウムが顔料粒子へ均一にコーティングされ、鮮やかでなめらかな絵具を作ることができます。
チューブ絵具での販売がない岩絵具や、エフェクト顔料を使ってオリジナルの油絵具を作ってみるのも面白いかもしれません。
ただし、岩絵具は番手によって粒子の大きさが異なるため、チューブ入り絵具程度の質感を求める場合は一番細かい白(びゃく)をご使用ください。
大理石板とガラスマーラーの基本的な使い方を実践を交えて学んでみたいという方には、当ラボの「水彩絵具づくり」ワークショップもおすすめです。
以下のURLよりエントリーをお待ちしております。