更新日:2025年10月10日
世界屈指の製紙技術を誇る日本の紙は、用途毎に改良が進み、高品質のものが有り過ぎて選ぶのに困るくらいの品揃えです。
その中でも、日本の製紙技術の礎になる和紙は特に種類が多い紙の一種です。和紙を使ってみたいけれど、どれを選んでいいのか判らない!と思ったことはありませんか?
和紙を購入する時の悩みTOP 5と言えば…このようなことを一度は感じた方も多いのではないでしょうか。
・種類が多くてどれを選んでいいかわからない
・特徴の違いは?
・サイズが大きい
・用語が難しい
・高い
そのような時に、知っていると和紙を選ぶ時に役立つ用語や、特徴などをご説明していきます。
和紙で用いられる言葉はたくさんありますが、最初はこれだけ知っていれば大丈夫!という項目をまとめております。和紙選びの際に、お役立てください。

匁は、日本古来から使用していた尺貫法において、重さを示す単位として使われてきました。大きさを示す「尺(1尺=約30.3cm)」も尺貫法の一つです。
洋紙の厚さを示す「紙厚(mmなど)」「坪量(g/㎡)」「連量(kg)」は、見たことがあったり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
坪量とは紙1㎡の重さを示します。また、連量は仕上がり時の寸法(四六判 788mm×1091mm)で1000枚紙を重ねた時の重さです。
基本の和紙に関する用語はわかりましたが、実際に選ぶとなると、どの紙がいいの?どれも使ってみたい……と迷ってしまいます。私も気になる紙に限って、大判しかなかったり、試すのには高いな…と思い、躊躇してしまうことがあります。
PIGMENT では支持体として使える和紙や加工紙をご用意しておりますが、「色々な紙を少しずつ欲しい」というご要望に応えたオリジナルの紙セットがございます。
・PIGMENTオリジナル紙セット
※こちらの商品は販売を終了いたしました。
中に入っている紙は、全部で16種類。当ラボの画材エキスパートが選んだ、メーカーも産地も異なる日本製の和紙や紙をセットにしました。和紙ではあまり販売されていない、試してみるのに丁度良いSMサイズ(227×158mm)で揃えております。
パッケージも手作りで、強制紙という紙を使用しています。この紙はシワ加工という和紙の伝統的な加工を施されていて、強度と耐久性に優れています。
紙セットに入っている紙で、特徴を比べてみましょう。表の数値は紙セット内容の紙においての比較です、数値の見方は下記をご参照ください。
・薄い 1 < 厚い 5
・弱い 1 < 強い 5
・にじまない 1 < にじむ 5
・滑かではない 1 < 滑か 5
・透けない 1 < 透ける 5
最初は、気軽に使いやすい、竹和紙を使用したアートパットシリーズの紙。

水墨画・水彩画用のどちらも15枚入りの販売になりますが、大きさはハガキ、SM、サイズの2種ご用意があります。厚みがある紙なので、台紙貼りなしでも使えます。官製はがきが紙厚0.22mm、連量180kgですので、比べるとかなり厚手です。
和紙と言えば、楮、雁皮、三椏。まずは代表的な楮紙です。
楮紙は全部で6種。5匁と15匁の生、10匁のドーサ、それぞれ晒と未晒が入っています。
5匁晒と10匁晒を見てみましょう。

未晒は楮の持つ自然な色合いの生成色、晒も温かみのある白さです。ドーサの有無でにじみ具合が異なります。5匁は和紙特有の透け感がありますが、15匁だとあまり透けず、かなり厚みを感じます。生は種類が多く、20匁までご用意がございます。
次は、雁皮紙と三椏紙。
三椏を和紙の原料として使い始めたのは明治になってからで、他の2種に比べて新しい和紙の種類です。
雁皮は栽培が難しく、ほぼ自生しているものを使います。また、雁皮紙は和紙の中で一番光沢があり滑かで、ドーサを引かなくてもにじみにくいのが大きな特徴です。

麻と楮で漉いた、麻紙。
雲肌麻紙は未晒なので、楮特有の生成り色です。どちらも麻が入っているので丈夫です。

楮・三椏二層紙と新麻紙。
どちらも三椏が入っていて、楮のしなやかな強さと三椏の滑らかさを兼ね備えています。

個性的な2種。
500g/㎡という特厚な竹・楮混合紙と、ポリプロピレンがベースのユニペーパーα。

ユニペーパーは薄くても強靭、高耐水性で非常に滑かです。下記の商品ページに色々な絵具との相性について説明がございますので、ご参照ください。また、有害物質や環境負荷物質を使用しない合成紙で、環境への配慮もなされています。
当ラボのスタッフも、作品制作に使用しています。
【PIGMENT ARTICLES】私のおすすめ「ユニペーパーα」
また、PIGMENTでは、メーカーとユーザーの架け橋になるようなオリジナル商品を企画しており、「楮・三椏二層紙」と「竹×楮 混合紙」という紙も、その一つです。
材料を組み合わせることで、それぞれの良いところを併せ持ったハイブリットな紙です。
和紙のパネルへの貼り方は、こちらの動画をご参考にしてください。
紙は見た目だけでは特徴の違いがわかりにくい画材ですが、どれも内に秘めた個性があります。
基底材選びから作品制作は始まり、その素材だからこそできる表現もあるのではないでしょうか。新しい画材との出会いの一歩に、ぜひお手に取って比べて見てください。
【11月15日限定開催】紙漉きワークショップ in PIGMENT TOKYO
PIGMENT TOKYOは10周年を記念し、徳島の老舗和紙メーカー「アワガミファクトリー」との特別ワークショップを開催いたします。
当日は、アワガミファクトリーのスタッフより、和紙の歴史や素材、製造工程について学び、その後、実際にハガキサイズの紙漉きを体験していただけます。
通常は徳島の工房でしか味わえない紙づくりのプロセスを、レクチャーと実践を通して自らの手でなぞることができる貴重な機会です。
作品制作における素材としての「紙」を深く理解し、触れ、その生成に関わることで、表現の幅を広げるヒントがきっと見つかるはずです。学びと発見に満ちた時間をぜひご体感ください。

[10周年記念]アワガミファクトリー 紙を知る /紙を漉く
開催日程 2025年11月15日 (土)
場所 PIGMENT TOKYO
時間 11:00-17:00 各回45分/全5回
11:00 –11:45 12:00 –13:00 14:15 –15:00 15:15 –16:00 16:15 –17:00
受講料 ¥3,960(税込・材料費込)
対象年齢 高校生以上
対応言語 日本語・英語
ご予約 ワークショップ–特別講座
※その他詳細については、予約ページも併せてご確認ください。
体験できること
・和紙の歴史や素材、製造工程に関するレクチャー
・ハガキサイズの紙漉き体験
漉いた紙は、保護用のケースと袋に入れた湿紙の状態でお持ち帰りいただけます。
※紙の完全な乾燥は、ご自宅で行っていただきます。
【イベント当日限定】販売商品
11月15日限定で、PIGMENT TOKYO店頭にて紙漉きの道具や紙漉きキットを販売いたします。
こちらは、ご来店された方はどなたでもご購入いただけます。
・紙の素キット
・はがき用簀桁(すけた)ハガキサイズ
※数量に限りがあります。予めご了承ください。
※PIGMENT TOKYOのオンラインショップでは販売しておりません。
アワガミファクトリーとは
1300年の歴史を持つ阿波和紙の技術を継承しながら、現代の表現にふさわしい高品質な和紙を製造しているメーカーです。
竹の繊維を用いて漉いた「竹和紙」や、PIGMENT TOKYOオリジナルの配合による「竹×楮 混合紙」など、環境への配慮と創造性を両立した紙づくりを続けています。

 
          






