日本の伝統色に彩られた墨〜彩墨の世界〜

日本の伝統色に彩られた墨〜彩墨の世界〜

連日、様々な地域の方々がPIGMENTへ訪れてくださっております。そんな中、お土産として人気のある商品のひとつが「彩墨」です。

皆様は墨というと「黒い」という先入観をお持ちかもしれませんが、実は赤(朱)をはじめとして、様々なお色ございます。

今回はそうした彩墨についての解説を、岩泉慧氏にお伺い致しました。

 

ーこちらには様々な色の墨がありますね。こうした色の付いた墨は昔からあるのでしょうか。

歴史的な時期は定かではありませんが、東洋では昔から使用されてきた画材のひとつです。訂正の際に使用する朱文を書く為の赤い墨が、最初期に使われていました。

 

ーなるほど、最初は黒と赤の墨が使われていたのですね。そして現在、様々な種類の墨がデディスプレイされておりますが、これは大きく分けて何種類くらいになるのでしょうか。

商品としては、彩墨、彩華墨、彩墨あや、朱墨、の4種類ございます。ただ、彩墨と彩華墨については形状が異なっているのみで、使われている原料などに違いはございません。またこれらの商品は全て顔料と膠を練り合わせて造られておりますので、日本絵画的な表現の絵肌にあう色味を作り出すことができます。

 

 

 

ーこれらの墨は、通常の墨のように使うものなのでしょうか。

はい、通常の墨と同じように擦って使用いただけます。ただ、黒い硯ですと色味が見えにくくなってしまうため、これらの墨を使用する際には、こうした陶器製の白い硯の使用をおすすめしております。またこのような小判型の墨の擦り方については以前ご紹介した硯面に対して垂直にする方法ですと、どうしても墨と硯の接地面が少なくなってしまいますので、少し斜めにしながら擦ると使いやすいです。

 

 

 

ーなるほど、色味がわかる方が便利ですね。さて、彩墨と彩華墨は形状以外ほぼ一緒というお話をお聞きしましたが、彩墨あやと前者の違いはどこにあるのでしょうか。

彩墨と彩華墨も非常にいい商品ではあるのですが、同時に原材料の減少や製造面での問題を抱えており、その点を改良したのがこの彩墨あやです。

またリニューアルにあたり、色味も若干変化いたしました。本製品では「日本の伝統色」というテーマで調色され、それぞれの色に和名がつけられています。

 

ー他に、このあやの特徴はございますか。

彩墨・彩華墨ではパステルトーンの色もラインナップされていたのですが、彩度の低い色は白を混ぜれば作ることができる為、今回のあやではそのような色が減らされています。その分、平安時代の「襲の色目」を意識しながらも彩度の高い色味が作り出せるのが、この商品の特質です。

 

 

ーあやシリーズの中で岩泉さんお気に入りの色はどの色ですか。

この刈安や浅葱色は自分では調色しにくい色なので、個人的に気に入っております。実際に店頭で商品をみていただくと分かりますが、墨本体の色と塗ったサンプルを見比べると色によって結構な違いがございます。是非、当ラボにいらっしゃった際にはその差も見比べてみてもらえたらと思います。

 

 

 

当ラボECサイトでは彩墨あやはもちろん、お手軽に彩墨の世界をお楽しみいただける「彩墨セット」もお取り扱いしております。

 

 

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。