岩泉館長が語る筆・刷毛の基礎知識

岩泉館長が語る筆・刷毛の基礎知識

みなさまご存知のとおり、PIGMENT TOKYOでは顔料だけでなく様々な材料も取り扱いしております。

筆だけでも様々な種類のものを取り揃え、天王洲のスペースでは筆の試し書きをして頂くこともできます。

今回は、そんな素材の中でも絵を描く上での必須アイテムである「筆」について、岩泉館長にお伺いしました。


―PIGMENTではどういった種類の筆を取り扱われていますか。

当ラボでは絵画用の絵・刷毛を取り扱っておりまして、どう分類するか?によるのですが大きく分けると3種類に分けることができます。


―それはどういった分け方でしょうか。

まず1つ目が水系の筆・刷毛です。こちらは水墨画や日本絵画、水彩画などに使用されます。

2つ目が油絵具で使用するために作られた油系の筆、そして3つ目が絵を描く為ではなく裏打ちや表具に仕立てる時に使用する刷毛です。


水系の筆



油系の筆


―用途別にどのような違いがあるのでしょうか。

水系のものは文字通り水を使用しますので、ふくみが良かったり、先がきいたりなど、岩絵具や墨に適したつくりをしております。

それに対して油系の筆は、粘性の高いメディウムを使用する都合上タッチが活かせるようにコシが強く、ストロークを生かした表現ができるような特性があります。



―なるほど、ありがとうございます。店舗奥に見慣れない形の刷毛がございますが…

はい、こちらが表具用の刷毛となります。絵が描かれた紙の本紙に裏打ちをして補強したり、その際に使用する糊を塗ったり、紙を撫でる為のもの、叩いて使用するものなど、様々な用途別の刷毛があります。


表具用の刷毛


―では、これで絵を描いてはいけないのですね。

そうですね。絵画用として使用できなくはないのですが、それを目的として作られてはおりませんので、おすすめは致しません。


―そうなると、水系のものを油系メディウムで使用したり、その逆で油系の筆を水系のメディウムで使用してはいけないのでしょうか。

そんなことはありませんよ。どちらでも使用することができます。ただ、注意をしなくてはいけないのが、水系の筆の場合は油絵具の溶剤である揮発性油に強い接着剤を使用してない場合があります。その為に軸先が外れてしまうことがございますので、その点だけ注意して使用していただけたらと思います。




PIGMENTでは、画像では紹介しきれないほど様々な種類の筆・刷毛をお取り扱いしております。

是非、PIGMENT公式ホームページをご覧ください。

https://pigment.tokyo/



また、来たる5月に株式会社中里3代目代表取締役社長 中里文彦氏をお招きし、筆にまつわる特別講座を開催いたします。

座学はもちろんのこと、受講されるみなさまには実技として2本の彩色筆をつくっていただきます。

ぜひこの機会に、あなたのお気に入りの筆をみつけてみませんか。


[特講]京都中里 筆を知る / 筆をつくる

2019/05/18(Sat)

13:00 - 16:00

https://pigment.tokyo/products/142

※こちらのワークショップは終了しております。
最新情報は下記リンク先にてご覧いただけます。
https://pigment.tokyo/collections/workshop

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。