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PIGMENT LAB TOKYO

PIGMENT岩泉館長が語る4500色の顔料とその特性

2018-11-02 00:00:00
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ーPIGMENT TOKYOにはたくさん色が並んでいますね。何色くらいあるのでしょうか

こちらの棚には4500色にも及ぶ顔料を取り揃えています。


―どれも違う素材からできているのですか?

はい、すべて違う材料から作られて4500色となっております。



―このグラデーションのように並んでいる色も?

こちらは岩絵具と呼ばれる顔料でして、基本的には天然の石や、人工的に作られた釉薬の塊を砕き、その粒子の粗さで色を分けたものになります。

そのため、色名としては一つなのですが、粒子の大小によって色の違いが生み出されます。

また、岩絵具は粒子が粗くなればなるほど、色が濃くなるという特徴がありますね。




―では、PIGMENTで扱っているのは全て岩絵具なのでしょうか

実はですね、この棚のなかで岩絵具と呼ばれる種類の顔料は7割くらいで、残りの2〜3割は単に顔料、またはエフェクト顔料と呼ばれるものになります。


―日本絵画で使用する絵具のみを販売しているのですか?

いえ、そう思われる方も多いのですが、この岩絵具も、日本絵画だけに限らず、油絵具やアクリル絵具として転用できるようになっています。


―ということは、この顔料のまま絵が描ける訳ではないのでしょうか

そうですね。よく「これを水に溶かしたら絵が描けるのですか?」というご質問をお受けするのですが、これら瓶の中に入っている顔料たちは、あくまでも”絵具の元”となる色の粉なんですよ。なので、ここからどんな糊材(メディウム)を混ぜるか?によって、できる絵具が変わってきます。例えば、日本絵画でよく使用される膠を混ぜれば日本絵画用の絵具になりますし、油を混ぜれば油絵具、アクリル樹脂を混ぜればアクリル絵具、アラビアゴムを混ぜれば水彩絵具になります。要は、絵具の名前の多くは糊材からとられているのです。


―顔料と糊剤の組み合わせで様々な絵具が作れるのですね

そうなんです。ヨーロッパでもルネサンスの頃は、顔料に油や卵などを加えて、自分たちで絵具を作っていたのです。


―では、ダ・ヴィンチやミケランジェロも岩絵具を使っていたのですか?

岩絵具というよりも、当時は人工的な色がほとんど存在しなかったので、ほぼ全て天然のものから絵具を作っていました。ダ・ヴィンチやミケランジェロの時代ではバーミリオンやマラカイト・グリーン、アズライト・ブルー、イエローオーカーなどを使用していました。これらを日本絵画に置き換えると、バーミリオンは本朱、マラカイト・グリーンは緑青、アズライト・ブルーは群青、イエローオーカーは黄土と呼ばれていました。



―国や地域は違えど、使っていたものは一緒だったのですね

はい、過去にさかのぼるほど、使っている顔料に差がなくなってきます。



―そうだったのですね。棚の右側を眺めると、途中からビビットな色が並びはじめますが、こちらは岩絵具とは別の顔料になるのでしょうか?

これらは産業革命の少し前くらいから化学的に作られ始めた顔料で、合成無機顔料や有機顔料と呼ばれるものです。とはいえ、先ほどお話したバーミリオン(朱)などは昔から合成品も使われておりますし、全てが近代に生まれた顔料ではありません。ただ、爆発的に色が増えたのは産業革命以降になります。



―更に、その隣にはキラキラした顔料がありますね。こちらも比較的新しい顔料なのでしょうか?

はい、エフェクト顔料というもので最先端の技術が使われているのですが、歴史的には凄く古い顔料でもあります。日本ですと「雲母(うんも)」または「きら」と呼ばれ、古い絵巻物などにも使用されているんですよ。

今では、そこに様々なコーティングを施したり、角度によって色味が変わる構造を付与させて、多様な色の種類を生み出しています。

また、これらは絵画はもちろん、アイシャドーなどの化粧品やネイル、車の塗装などにも使用されます。




―様々な着色に欠かせない顔料を取り扱われているのですね

はい、4500色というのは、日本画材限定ではなく、全ての色材の元となる素材で、これらを総称して「顔料」と言っております。

つまり、こちらの顔料棚では、岩絵具、人工的に作られた無機顔料と有機顔料、そしてエフェクト顔料と、大きく分けて3種類を取り扱っています。

実際に手に取り色を見比べながら、お気に入りの顔料を見つけてみてください。