ゴッホの描いた世界を体験してみよう〜五感で感じるアート〜

ゴッホの描いた世界を体験してみよう〜五感で感じるアート〜

寺田倉庫では、2024年1月6日(土)から同年の3月31日(日)まで、ゴッホの世界を五感で感じられる新感覚の没入型展覧会「ゴッホ・アライブ」を開催します。
本展では真っ暗な広い展示室に設置された様々な大壁と床にゴッホの作品などが投影される新感覚のゴッホ展。壮大なスペクタクルのもとで、五感で楽しめるアートを楽しむことができるイベントです。

「ゴッホ・アライブ」東京展(https://goghalivejp.com/tokyo/
企画制作:グランデ・エクスペリエンセズ
主催:ゴッホ・アライブ東京展実行委員会

 

そしてこの度、PIGMENT TOKYOで当展覧会とコラボレーション・ワークショップの開催が決定いたしました。

 

「ゴッホ・アライブ」展覧会イメージ © RB Create

 

東京で過ごす皆様にとって、もしかしたらゴッホの「ひまわり」は馴染みのあるモチーフかもしれません。というのも、東京の新宿にあるSOMPO美術館ではゴッホの《ひまわり》を収蔵しています。広告などでも登場することがあるため、一度は目にしたことがあるはずです。
同美術館が所有している《ひまわり》は、一緒にアトリエで生活をする予定だったゴーギャンの到着を待ちながら、その部屋を飾るために描かれたものとされています。
翌年にサン・レミで病床に臥したゴッホは、かつて過ごしたアルルのことを想いながら、病室で《アルルのゴッホの寝室》という共同アトリエの作品も描いています。
いかに彼がアルルのアトリエを愛していたかが分かるエピソードです。

 

「ゴッホ・アライブ」展覧会イメージ Photo: Grande Experiences

 

 

また、西洋絵画においても「ひまわり」は特別な意味が込められています。
ご存知のように、この花は常に太陽の方を見るという向日性を有しています。そうしたことからギリシャ神話において、太陽王アポロに叶わぬ恋をした娘が成り果てた姿と言われることから、「献身性」や「忠誠心」を表すと言われてきました。
彼はアルルで過ごす間に、複数の「ひまわり」の静物を制作しています。太陽の象徴であるひまわりは、暑く長い夏のアルルの象徴だったのでしょうか。それとも「芸術への忠誠」そのものを表していたのでしょうか。彼の描く「ひまわり」には、見る者の想像力を掻き立てる何かがあるような気がします。

 

《Sunflowers》1888,Vincent van Gogh,The National Gallery

 

 

《ひまわり》を鑑賞する上でもう一つ大切な要素が色彩の相互関係です。
例えば、「ゴッホ・アライブ」のメインビジュアルや、SOMPO美術館の《ひまわり》では、黄色を主題とした世界の中にアクセントのように緑色が配置されています。
他にもメトロポリタン美術館にある《麦わら帽をかぶった自画像》では黄色を主軸にしながらも、ベースの色は基底材の茶色、顔の影に描かれた緑、衣類の青など、黄色を引き立てる色が縦横無尽に描かれています。主役の黄色を最大限に生かしながら描くその様子は、まるでファッションをコーディネートする時の差し色のようです。

《Self-Portrait with a Straw Hat (obverse: The Potato Peeler)》1887,Vincent van Gogh,The Metropolitan Museum of Art

 

 

色の科学反応を説明する時に用いられるのが、色相環です。

私たちの見える色は波長の数値によって知覚されますが、それを連続的に配列し円環状にしたものがこちらです。

 

Photo AC「色相環」

 

 

例えば本記事で紹介した《ひまわり》の場合、基本はオレンジと黄色が使われているので、対となる色の緑を配置して、画面の調和を作っています。そしてさらにアクセントとして青い線が加えられています。
こうした技法は筆触分割とも称され、印象主義の画家たちが用いた絵画の技法です。彼は印象派的な科学理論を用いつつも、その形式に囚われず、モチーフがいきいきと輝く瞬間を絵画として描くことを試みました。


荒々しくもビビットな彼の色彩は、油絵具ならではの特徴でもあります。
油絵具はその名の通り、顔料と油系のメディウムを練り合わせて作られたものです。ゴッホの生きた時代では既にチューブ入り油絵具が流通しており、1987年にパリにいた頃はジュリアン・タンギーという者の店から画材を買っていたそうです。ゴッホ好きの方なら気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、あの《タンギー爺さん》のタンギーさんです。

ゴッホが使用した油絵具という画材は、乾燥するのに非常に時間がかかるため、逆にそれを生かした筆跡を楽しんだり、重ね塗りをして画面で混色をしたりするのに長けています。「ゴッホ・アライブ」のミュージアムでしか体験できない大画面のゴッホワールドで、色の発見をしてみるのも良いでしょう。

彼が色彩において科学的な視点を取り入れたように、アートとテクノロジーは共生関係にあります。今回PIGMENT TOKYOでは「ゴッホ・アライブ」ならではのエッセンスを取り入れたワークショップを企画いたしました。

使用するのは、光を反射してキラキラと輝くエフェクト顔料
さまざまなメーカーが現代の技術を駆使して開発した色の粉であるこの顔料に、水性アクリル糊剤を混ぜた絵具を使用。その絵具でゴッホ代表作《星月夜》のディテールを模写する、「ゴッホ・アライブ 東京展」 チケット付きのワークショップです。

 

「ゴッホ・アライブ」展覧会イメージ Photo: Grande Experiences

 

渦巻く夜空を細筆で丁寧になぞれば、見るだけでは届きにくいゴッホの考えをじっくり追体験できるでしょう。お子様や絵を描くのが苦手な方でも心配ないよう、ガイドとなるモノトーンの下図がプリントされた台紙をご用意しました。どなたでも塗り絵のような手順で制作を進められます。出来上がった作品は額に入れてお持ち帰りできます。

絵具の仕組みを知り、当ラボオリジナルの絵具で描き、目でゴッホを体験するという、PIGMENT TOKYOならではの企画です。
東京展限定の特別な時間を、《星月夜》が描かれた1889年6月の夜に思いを馳せながら過ごしてみませんか。


・ワークショップ&チケット情報

 

 

[期間限定]ゴッホ・アライブ 東京展 特別講座『キラめく《星月夜》を描く』

日程:2024年1月27日(土)
       2月10日(土)、24日(土)
       3月9日(土)、23日(土)
時間:14:00 〜 16:00
場所:PIGMENT TOKYO
受講料:一般¥10,500(税込・材料費込)
対象年齢:小学4年生以上〜大人
お持物:なし
ご予約:

2024年1月27日(土)

https://pigment.tokyo/products/24-01-27-gogh-ws

2024年 2月10日(土)

https://pigment.tokyo/products/24-02-10-gogh-ws

2024年2月24日(土)

https://pigment.tokyo/products/24-02-24-gogh-ws

2024年3月9日(土)

https://pigment.tokyo/products/24-03-09-gogh-ws

2024年3月23日(土)

https://pigment.tokyo/products/24-03-23-gogh-ws

こちらの受講料で、寺田倉庫G1ビルで開催の展覧会「ゴッホ・アライブ 東京展」がご鑑賞いただけます。


・「ゴッホ・アライブ 東京展」チケットに関してのご注意

※ワークショップ当日に限り有効となりますので、ご注意ください(お好きな時間帯にご入館いただけます)。
※ワークショップ当日の11:00以降にPIGMENT TOKYOまでご来店いただき、お受け取りください(11:00まではお受け取りいただけませんので、ご了承ください)。
※「一般 / 高校・大学生 / 小・中学生」いずれの区分でもご利用いただけます。
※事前の配送は承っておりません。

 

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。