京表具師に学ぶ裏打ちと屏風づくり

京表具師に学ぶ裏打ちと屏風づくり

裏打ちとは、紙や絹などを基底材に用いた作品の補強や変形を防ぐために施す技法です。日本の伝統的な美術様式である掛軸や額、襖、屏風などに表装する際に用いられるほか、和装本や洋装本の修理にも使われます。

薄手の紙や絹で描いた作品を展示するためには外せない工程ですが、専用の道具や技術も必要なため、少々ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。

今回PIGMENT TOKYOでは、そのようなお客様に向けて表装・表具のワークショップを実施いたしました。

 

 

 

 

ワークショップ冒頭、物部氏によるデモンストレーションが行われました。

もし、半紙がくしゃくしゃになって破けてしまった場合、裏打ちでどのような補修されるのか、プロセスを見ていきましょう。

 

左に写っているのが、デモンストレーション用に用意された半紙です。

このような和紙がどのように裏打ちされていくのか見ていきましょう。

まずは本紙(作品)を広げ、水を含めた刷毛で基底材に湿り気を与えて伸ばします。

 

 

 

その後、ピンセットなどで破れた位置の補修をしたのち、裏打ち用の和紙の全面に糊をつけます。その後、本紙と裏打ち紙を接着し、仮張り板に張って乾燥させて完成です。

下の写真が仮張り板に張った状態の破れた半紙です。裏打ちをすることで劣化した紙も綺麗に補修できることがわかります。

裏打ちの詳しいプロセスについては、PIGMENT ARTICLESの「裏打ちの所作 -手法-」をご覧ください。

 

 

 

 

PIGMENTスタッフも、シワが入ってしまった作品の裏打ちを試みます。

 

 

 

 

薄手の半紙の場合は数時間で板から外すことができますが、今回の和紙は厚手だったため、1日ほど乾燥させました。

 

 

 

 

仮張りをする前と張った後の比較はこちらです。シワがよっていた和紙もこのようにフラットになりました。

絵墨や岩絵具だけでなく、このようなアクリル絵具で描いたものでも裏打ちができます。

 

 

 

 

「伝統技術であそぼう!」では、親子企画としてお子様の作品を小さな屏風や掛軸に仕立てるワークショップを開催しました。

 

 

 

 

ワークショップ後半では裏打ち体験として、自作の裏打ち作業に挑戦。

大人だけでなく、お子様も最後まで真剣に作業をされていました。

 

 

 

 

当ラボのワークショップは講師のサポートが丁寧なので、お子様も安心して作業を進めることができます。

 

 

 

 

画用紙にクレヨンで描いた作品も、もちろん裏打ちが可能です。

伝統的な技法である裏打ちはどこか縁遠いものに感じてしまいますが、身近なものを仕立てると少し距離が縮まるような気がします。

 

 

 

 

こちらのワークショップは特別企画ですが、当ラボでも裏打ちで用いる道具などは販売しております。

ご自身でやってみたいという方は、当ラボ記事の「裏打ちの所作 -輪郭-」と「裏打ちの所作 -手法-」をご覧になるか、当ラボの画材エキスパートへお気軽にお問い合わせください。




イベント情報

※このイベントは終了しました

 

[特講]裏打ち

開催日程:2023年8月12日(土)

時間:13:00〜17:00

講師:物部 泰典(物部画仙堂)

受講料:一般¥16,500 (税込・材料費込)

対象年齢:なし



[夏休み親子]伝統技術で遊ぼう!

開催日程:2023年8月13日(日)

※このイベントは終了しました

時間:13:00〜16:00

講師:物部 泰典(物部画仙堂)

受講料:親子1組(2名様分)¥14,300(税込・材料費込)

対象学年:4歳以上

 

 

 

 

※最新のイベント・ワークショップの情報はこちらをご覧ください

https://pigment.tokyo/collections/workshop&nbsp

 

 

 

 

 

Profile

大矢 享

Art Materials Expert at PIGMENT TOKYO

AKIRA OYA

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.