PIGMENT TOKYO×画材エキスパート vol.2~能條雅由~

PIGMENT TOKYO×画材エキスパート vol.2~能條雅由~

寺田倉庫では「モノ」の保管だけにとどまらず、あらゆる「価値」の保存、継承にも取り組んでいます。それはワインや美術品の保管だけではありません。PIGMENT TOKYO、建築倉庫ミュージアム、TERRADA ART COMPLEX、鉄工島フェスなど……ここでは書ききれないほど多角的な「もの」と「こと」を繋ぐプロジェクトが進められています。


とりわけTERRADA ART COMPLEXは、様々なギャラリーが併設されているのはもちろん、横浜美術大学サテライトキャンパスの設置や、TAC ART STUDIOというスタジオの運営などが行われているアート複合施設です。


今回、当ラボの店長でもありながら、アーティストとしてTAC ART STUDIOを利用している能條雅由さんに、その魅力をインタビューしました。



ー早速ですが…ずばり、TAC ART STUDIOの魅力は何でしょうか。

まずはインフラがしっかりと整備されている点だと思います。

スタジオの広さは大小様々ありますが、元々倉庫だった空間を利用していますので、天高が5m近くあるため、広々とした空間で制作に没頭できます。加えて24時間使用可能、冷暖房完備、トイレや水回りも整っている、大型の搬入エレベーターもありますので、制作にあたって困ることはあまりありません。


ー確かにそうですね。

これだけ整った環境が東京の中心部にあることも、非常に利便性が高いと思います。

またスタジオ以外のフロアには、現代美術のコマーシャルギャラリーも多数入居されていますので、そういった所にすぐにアクセスできるのも良いですね。


TAC ART STUDIOホームページ掲載写真



ーアーティストとしてPIGMENT TOKYOで働きながら、天王洲のスタジオで制作することでメリットはありましたか。

まず職場とスタジオが近いことは非常に嬉しいですね。

制作で使用する材料もすぐ手に入りますし、移動時間のロスも無くなることで制作に多くの時間を割くことができます。時には著名なアーティストがお越しになったり、お客様とも繋がったりすることもあります。

また、企業の事業運営に関わることから学ぶ点も数多くありますし、それは作家活動の見えない部分にも少なからず良い影響を与えてくれていると感じています。




ー具体的にはどのような影響がありましたか。

ついつい作品を作ることばかりに意識が行きがちですが、これからはアーティスト自身もセルフマネジメントやコマーシャルなどについても考えていく必要が出てくると考えています。そういったことへのヒントや繋がりを作る意味でも、得られるものがあると思います。


ー能條さんは普段、どのような作品を制作されているのでしょうか。また、コンセプトなどをお聞かせください。

私は京都の芸術大学で日本画を学んでいましたが、大学院の頃から現代美術に興味を持ち始め、作品のスタイルが変わっていきました。

ロンドンや香港を訪れ、美術館やギャラリー、アートフェアなどで見た作品からは多くの刺激を受けました。

自身が学んできたことや見てきたことを踏まえて、そこから何を作っていけばいいのかを考え、箔を用いた作品に至りました。

「Mirage」という自然現象からインスピレーションを得たシリーズの作品は、自身で記録したイメージを解体し、偶然性と現象を取り込みながら画面上に金属箔で再構築していくという手段を取ることで、情報としての図像をより知覚に訴えかける視覚体験へと変化させています。光や空間の影響を受けながら移ろいゆく世界は、目には見えるが辿り着くことができない光学現象となり、写真が持つ事実性を抽象化させていきます。

そうした視覚体験と対峙した時、鑑賞者が回想シーンに浸っていくような、感覚に訴えかける作品を制作しています。


撮影:Art Central Hong Kong



ー今後の活動予定を教えてください。

2020年の1月~2月にかけて、ロンドンのギャラリーで個展の開催が決まっています。

JD Malat Gallery https://jdmalat.com/


その後も国内外で、発表をしていく予定です。

撮影:JD Malat Gallery



・能條雅由 プロフィール


撮影:Universal Music Art Project

https://www.universal-music.co.jp/artproject/


個展:

2020 JD Malat Gallery(ロンドン)にて個展開催予定

2017 「Mirage」 Tokyo Arts Gallery (東京)

2016 「Mirage」 Gallery Art Composition(東京)


グループ展:

2019 Universal Music Art Project 17 (東京)

JD Malat Gallery グループショー (ロンドン)

下鴨文化茶論 (京都 下鴨茶寮)

2018 JD Malat Gallery グループショー (ロンドン)

下鴨文化茶論 (京都 下鴨茶寮)

2017 완.완.완(刓.婉.完) グループ展 (Ujang art gallery ,ソウル 韓国)

2015 Brilliant Corners (Tokyo Arts Gallery 東京)

アートアワードトーキョー丸の内2015(丸ビル1F 丸キューブ 東京)

混沌から躍り出る星たち2015 (スパイラルガーデン 東京)

栗和田栄一特別賞展 (佐川美術館 滋賀)

アートフェア:

2019 Contemporary Istanbul 2019 (JD Malat Gallery /トルコ イスタンブール )

Art Central Hong Kong 201 (Gallery Art Composition / 香港 Central Harbourftont)

ZONAMACO 2019 (JD Malat Gallery / メキシコ メキシコシティ)

2018 KIAF 2018 ART SEOUL (Gallery Art Composition / ソウル COEX)

VOLTA NY 2018 (Gallery Art Composition / ニューヨーク PIER 90)

ART FAIR TOKYO 2018 (Gallery Art Composition / 東京国際フォーラム )

ARTIST\'S FAIR KYOTO (京都府京都文化博物館別館 )

2017 ART JAKARTA 2017 (Gallery Art Composition /インドネシア ジャカルタ)

ART FAIR TOKYO 2017 (Gallery Art Composition / 東京国際フォーラム)

2016 ART OSAKA 2016 (Gallery Art Composition ホテルグランヴィア大阪)

ART FAIR TOKYO 2016 (Gallery Art Composition /東京国際フォーラム)

2015 ART TAIPEI 2015 (台北 台北ワールドトレードセンター)


学歴:

2015 京都造形芸術大学大学院 修了

2013 京都造形技術大学 卒業

受賞歴:

2014 京都造形芸術大学大学院修了展 佐川美術館 栗和田榮一 特別賞

2013 京都造形芸術大学卒業制作展 学科賞

Arts Bar 2013 京の創造 最優秀賞

ALBION AWARD 2013 入賞

TURNER AWARD 2013 優秀賞

TOKYO WONDER SEED 2013

プライベート、パブリックコレクション多数



・能條雅由 展覧会情報

個展 2020年1月15日~2月15日 JD Malat Gallery(ロンドン)

https://jdmalat.com/



・TERRADA ART COMPLEX

〒140−0002 東京都品川区東品川1-33-10


東京臨海高速鉄道りんかい線・天王洲アイル駅

「B出口」より徒歩約8分

東京モノレール羽田空港線・天王洲アイル駅

「中央口」より徒歩約11分



・TAC GALLERY SPACE 営業時間

火・水・木・土 11:00~18:00 金 11:00~20:00

日・月・祝 定休

https://terrada-art-complex.com/ja/

※会期はギャラリーによって異なります。

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。