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PIGMENT LAB TOKYO

水性ながら油性の性質も持つ新しい絵具、AQYLAとは?

2019-07-20

水溶性の利便性と、油絵具の堅牢性を兼ね備えた「水性アルキド樹脂」AQYLA。読者のみなさまも、当ラボではもちろん、日本全国の画材屋さんどこかで目にしたことはあるかと思いますが「実際にどういった特性があるのか分からない」「他のアクリル絵具や油絵具と何が違うのか」「使い方を知りたい」というお声を耳にします。本日は、埼玉県に本社を置く株式会社クサカベさんにお邪魔させていただき、技術開発部課長の岩崎氏にAQYLAの魅力と、その特性についてお伺いしました。

 

―油絵具、アクリル絵具、水彩絵具……などチューブ絵具には、さまざまなものがございますが、AQYLAの特徴はどういったものなのでしょうか。

水性アルキド樹脂を糊材として使用しているのが一番の特徴です。




―アルキド樹脂というと、油絵具の速乾材として使用されている印象がありますが……

元々アルキド樹脂は油性ですが、そこに水を分散させているのがこの絵具になります。

そのため、大きなくくりでいうと、アクリル絵具などにも使われているエマルションの仲間のひとつです。


―ではなぜ、アルキド樹脂エマルションの絵具を開発したのでしょうか。

「即席で使えるテンペラメディウムのような絵具をつくりたい」というコンセプトのもと、AQYLAは誕生しました。そのため、混合技法の際に油絵具と相性が良い、アルキド樹脂を使用しました。




―なるほど、つまり油系絵具との混合技法を想定した商品なのですね。

はい、最終的に画面に残る成分は油系になりますので、AQYLA→油絵具→AQYLA→油絵具……と、どんどん層を重ねていくことができます。


―そうなのですね。支持体に制限などはございますか。

AQYLAで使っている水性アルキド樹脂は個性的でして、キャンバスや石膏下地はもちろん、紙にも油が染み込まずに描くことができます。


―顔料についてはどのようなものを使用されているのでしょうか。

最近市場に出てきた、高性能かつ高品質な顔料を使用しております。またカドミウムや重金属系の顔料を使用しておらず、環境問題にも配慮した商品になっています。




―AQYLAシリーズの特徴でいいますと、メディウムもさまざまな種類がございますね。

AQYLAは乾燥後、つや消しで仕上がるようになっています。そのため、ツヤを与える目的で最後にかけるニスや、混ぜながら光沢を出すためのメディウム、また油絵具で塗った面に水性アルキド樹脂を薄くグレーズすると弾いてしまう場合がありますので、それをおさえるためのはじき止めなどもラインナップされています。

ガラス絵を描きたい場合も、このはじき止めを使うと綺麗に塗ることができます。





―AQYLA単体の乾燥速度は速いのでしょうか、遅いのでしょうか。

絵具の水分が蒸発すれば指触乾燥はします。ただ、その上に水を乗せると水彩絵具のような表現も可能です。ですが中に油系の成分が残っているので、ゆっくり乾燥していき、最終的には耐水性の塗膜となります。また、これらの乾燥速度は、先ほどお話ししたメディウムなどでコントロールすることができます。

 

―なるほど、水系と油系のエマルションの良いところを生かしたのが、このAQYLAなんですね。

はい。アトリエでテレピンなどの溶剤の臭いを出したくないという方にもおすすめしております。また、アクリル絵具と違って乾燥時間に急かされることなく、ゆったり描きたい方には非常に親和性の高い商品です。


商品紹介


・水性アルキド樹脂絵具AQYLA

http://ur0.work/RXYG

Profile

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとしてとして携わりながら、平面作品を中心にアーティストとしても活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとしてとして携わりながら、平面作品を中心にアーティストとしても活動中。