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PIGMENT BOOK GUIDE「絵画学入門」

2020-06-23

2020年6月現在、緊急事態宣言の解除を受け、PIGMENT TOKYOも営業を再開いたしました。

営業再開にあたっては感染防止策の徹底はもとより、お客様にもソ ーシャルディスタンス確保などにご協力いただきながら、安全・安心対策を実施してまいります。

(※営業再開に当たっての詳細な情報につきましては、こちらのページも併せてご覧ください。https://pigment.tokyo/ja/news/?set_language=ja)


とは言いつつも、なかなか予断を許さない状態であることも確か。

新しい生活スタイルにシフトし、引き続き自宅にてお仕事をされたり、休日を過ごされる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回も、PIGMENT BOOK GUIDEと題して、アートの自宅学習にぴったりな一冊をお届けいたします。


前回は東洋美術入門の手引きとして都表装協会(編)の『表具の事典』(https://pigment.tokyo/ja/article/detail?id=71)をご紹介いたしましたので、今回は西洋美術編として、K・ニコラウス(黒江光彦・監修 黒江信子,大原秀之・共訳)による『絵画学入門 材料+技法+保存』をご紹介します。


絵画学という言葉に耳馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。それもそのはず。監修者あとがきによれば、この本の原著『DuMont’s Handbuch der Gemäldekunde』における「Gemäldekunde」の部分がすばり「絵画学」を意としており、これは同著の監修をした黒江氏によって新たに採用された言葉とのこと。

この「絵画学」という名の通り、この本では西洋の絵画について「物」としての視点で体系的な解説がなされております。


材料学の入門書的な側面を持っているのはもちろんのこと、「送り手」であるアーティストたちが、絵画を観賞する「受け手」へどのような技法でメッセージを届けているのかを理解するための手引きが書かれています。つまり、より深く西洋美術を知りたい方にとって、最適の一冊になっています。


特に、この本において注目すべき点は大きく分けて3つあります。


まず1つ目が本の章立て。『絵画学入門』は大きく分けて「A 基底材」「B 地塗り」「C 下書き」「D 鍍金(ときん)」「E 彩色層」「F 絵画の書き入れ」「G ニス」「H 自然科学的方法による絵画調査」の合計8章から構成されています。

この順番、当ラボの西洋美術に関わる講座を受講したことがある方なら、もうお分かりかもしれませんが、こちらは西洋絵画の構造と同じように章分けされております。(著者曰く、最後の章は付録のようなものであるとのこと)

私たちが普段目にする西洋絵画がどのような構造で成り立っているのか、順を追って理解することができます。


次に、本の内容です。一見難解そうに見えるこの本ですが、それぞれの章の中で、1つの用語に対して1つの短い解説文が書かれている辞書のような形をとっているので、本一冊を通読しなくても大丈夫。パラパラと眺めながら今、気になる用語をピックアップして読むだけで、知識の支えになってくれることでしょう。


そして、いちばん興味深いのが、この書籍で紹介されている図版。

みなさまは美術館にかかっている絵画作品の裏側がどうなっているか、想像したことはございますか。

西洋絵画というと、木枠にキャンバスを張るというイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、15世紀に至るまで木材がヨーロッパにおいて主となる基底材でした。そして作品が描かれた地域が変われば、使用される木材も変わってきます。そうした絵画の「舞台裏」まで解説しているのがこの本の魅力です。


残念なことに、こちらの書籍はもう絶版となっておりますが、全国の図書館で収蔵もされております。(https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN07830715)

図書館や古書店で『絵画学入門 材料+技法+保存』見かけたら、お手にとってみてはいかがでしょうか。



書籍情報


『絵画学入門 材料+技法+保存』

著者・クヌート・ニコラウス

監修・黒江光彦

共訳・黒江信子,大原秀之

出版社・美術出版社(東京)

刊行年・1987年

ISBN-10: 4568300371

ISBN-13: 978-4568300376


Profile

Art Materials Expert of PIGMENT TOKYO

AKIRA OYA

Born in 1989 in Tokyo Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his artist career composing visual art works.

Born in 1989 in Tokyo Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his artist career composing visual art works.