エフェクト顔料で楽しむオーナメント作り

エフェクト顔料で楽しむオーナメント作り

エフェクト顔料は一般的な画材店で流通している岩絵具やピグメントとは一味違って、下地を変えるだけでとても不思議な表情を作り出すことが可能です。

 

今回ご紹介するエフェクト顔料はホリデーシーズンにもぴったりな、煌めきが眩しい[Mi]シリーズです。

まずはこちらの画像をご覧ください。

 

 

 

【使用画材】

色材:[Mi] マジック ゴールド、 [Mi] シーニック ゴールド、

[Mi]シーニック ホワイト、 [Mi] ロイヤルトゥインクル 5401

メディウム:アクリルエマルション

基底材:竹和紙 水彩画用

 

 

各色、2種の基底材を使用しており、一見すると全く別の顔料に見えますが、実は下に塗っている色が違うだけ。

地の色を変えるだけで、こんなにも大きな変化が生み出されるのです。

といいますのも、このシリーズは顔料の基となる物質にホウ珪酸ガラスを使用しています。これにより従来のパール顔料では得ることのできない光輝感と高い透明性が作られるため、下地の色が干渉してこのような表情を生み出すのです。

 

つまり下地にアクリル絵具などで白と黒のモノトーンの下地を作り、その上から塗装することで、この顔料が持つ特性を最大限に引き出すことが可能となります。

 

それでは実際に、木のオブジェを使って簡単なフレームアートとオブジェを作ってみましょう。

今回用意したのはこちらです。

 

 

 

何も塗装されてない木の場合は特別な処理は不要ですが、もしプラスチックなどツルツルとしたものに色を塗りたい場合は、事前に金属・ガラス用プライマーを塗布すると良いでしょう。

 

 

 

 

その後、アクリル絵具を使用して下地に色をつけていきます。この単調な白黒の画面がどのように変化するのでしょうか。

 

 

 

フレームは前面のみ黒く塗装し、側面は白で仕上げました。

 

 

 

表面張力の強いエフェクト顔料は、分散剤を使うことで、水系のメディウムと混ざりやすくなります。水で軽く馴染ませたあと、アクリルエマルションを混ぜて塗ると、このような表情が生まれました。

 

 

 

蝶のオブジェにはシーニックホワイトを使用しました。白地の上に塗った雪のような白いキラキラした感じと、黒い下地から発される重厚感のある銀色が美しいです。

 

 

 

 

ユニコーンに使ったのはマジック ゴールドです。

ギラギラとしたグリッター感のある金色は、ついつい色々な角度で眺めてみたくなるような絵肌。白地に塗った部分もうっすらと金色が残っており不思議な風合いを持っています。

 

 

 

 

ハートには、シーニック マジック ゴールドを使いました。マジックゴールドと比べて粒子が細かく落ち着いた質感で、若干の緑色を帯びています。

白地に塗った場合も、控えめなホワイトゴールドを作り出すことができます。

 

 

 

 

フレームにはロイヤルトゥインクル 5401を塗りました。写真のとおり、下地がモノトーンであったことを忘れるほど、ビビットな発色をしています。

 

 

 

 

 

黒地に塗ったキラキラとしたピンクもさることながら、白地に塗った時の偏光が美しいのも特徴的。

光の加減によって変化するエフェクト顔料の絵肌を楽しむことができます。

また、塗り重ねることで、記事冒頭の塗りサンプルのような、力強い赤を作り出すことも可能です。

 

 

最後に、パーツをフレームに接着し、上から雲母をふりかけて完成です。

今回は接着剤としてマットメディウムを使用しました。

 

 

 

 

光源が多いところに飾ってみると、多方向からの光によりエフェクト顔料の輝きがより一層際立ちます。

 

 

 

 

こうしたクラフト用途にもぴったりなエフェクト顔料。

下地の色が変わることで起きる変化を、ご自身の手で塗りながら体験してみてください。

Profile

大矢 享

PIGMENT TOKYO 画材エキスパート

大矢 享

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。

1989年東京生まれ。 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻博士前期課程修了。 PIGMENTにて画材エキスパートとして携わりながら、平面作品を中心にアーティスト活動中。