セットで始める日本の絵画〜日本画をたのしもう〜

セットで始める日本の絵画〜日本画をたのしもう〜

日本画という言葉を聞くと、格調が高く難しそうなイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

しかし、この日本画という絵画ジャンルは決して古いものではありません。日本の伝統的な絵画洋式をもとに、西洋的な「絵画」の要素を取り入れてアレンジされた、いわば「新しい絵画」なのです。


確かに、かつては絵絹や楮、麻の紙に岩絵具という形式が主流ではありましたが、今日では化学合成された岩絵具を用いたり、和紙以外の基底材に描いた作品など、自由度の高い側面もありします。


そのような日本画への一歩を、京都にある岩絵具メーカーの老舗、ナカガワ胡粉株式会社から販売されている「日本画をたのしもう」シリーズで踏み出されてはいかがでしょうか。

こちらは、日本画を始めたい方に向けたキットです。

初心者の方でも手順書に沿って楽しくぬり絵のように描いていただくだけで、サムホールサイズ(227×158mm)の作品を2点制作することが出来ます。コンパクトなサイズですので、完成後に額装して飾るのはもちろん、そのまま玄関先などに立てかけても楽しむこともできます。

 

 

 「日本画をたのしもう さくら編」商品ページより

(https://pigment.tokyo/products/369?_pos=3&_sid=684ea484b&_ss=r)



このセットに含まれているのは以下のものです。

 

・岩絵具(11色)

・下絵(2種)

・念紙

・絵皿(4枚)

・骨描き墨汁

・胡粉引き済み麻紙ボード(SMサイズ2枚)

・透膠液(すきにかわえき)

・描き方手順書

・絵刷毛

・面相筆(中)(小)

・彩色筆

 

念紙とは水干絵具や木炭の粉などを塗布した紙で、いわばカーボンシートのような役割をする紙です。日本画制作で下図を本画に転写する際に用います。

骨描きの「骨」は輪郭線を指し、念紙で転写した図を書き起こす作業のことを指します。

基底材となるボードは適度に強度のある厚紙に麻紙を貼り付けているので、着彩時の反りが軽減されます。

 

全種類にそれぞれ下図が付属しているので、作画に不安がある方でもご安心ください。こちらのセットは日本語のみの表記となりますが、英語圏の皆様のために英語版のガイドブックも添付しておりますので、海外の方へのお土産にもぴったりです。

筆を洗うための筆洗(リンク挿入)もご用意いただけると、より作業がスムーズに進みます。

(*英語版はさくら編のみとなりますので、他の絵柄をお求めの場合は、さくら編の冊子を参考に作業を進めてください。)




1.日本画をたのしもう 「さくら編」

 

 

桜は日本を象徴する花のひとつです。

この花を描いた日本画の名作は多数存在しますが、横山大観による20世紀に描かれた《夜桜》は、同じく東京にある大倉集古館が収蔵しています。1930年に大倉財閥の大倉喜七郎が「日本美術を世界へ発信したい」という信念から実現したローマ日本美術展への出品作でもあります。

2024年の1月23日から3月24日まで、同美術館では「大倉集古館の春-新春を寿ぎ、春を待つ」という企画展で、《夜桜》をはじめとする大観作品や、新年の春を祝した干支や吉祥、花鳥風月をテーマとした作品を展示されます。

大倉集古館の作品でインスピレーションを得て、日本画に挑戦してみてはいかがでしょうか。

(詳しくは「大倉集古館」の公式ホームページをご覧ください。)




2.日本画をたのしもう 「メジロ編」

 

 

メジロは日本の山麓や市街地等にいる、全長約11.5cm程度の小さな鳥です。目の周りが白いことから「メジロ」と言われ、背中は黄緑色でお腹は白く、のどは黄色みを帯びています。初夏からが繁殖期のため、夏の鳥として扱われることもありますが、この図では春の花である梅にとまっています。

というのも、メジロは春になると椿や梅の花の蜜を栄養として吸いにくるそうです。この参考作品は、その瞬間を捉えたものなのでしょうか。

また、ウグイスという鳥も同じく春の訪れを知らせる鳥として親しまれています。この鳥もメジロより少し大きな16cm程度の鳥で、同様に梅の蜜を吸う鳥です。

美しく調和していたり仲のよい間柄のたとえとして「梅に鶯」という慣用句もあり、桜に負けず劣らず愛されているモチーフであることがわかります。



3.日本画をたのしもう 「かきつばた編」

 

 

日本絵画で有名なモチーフのひとつ、かきつばた。漢字で書くと「杜若」と表記されます。日本にお住まいの方や、旅行で訪れた事がある方にとっては、5000円札の裏側のモチーフとして見かけたことがあることでしょう。

和名は「書付花(かきつけばな)」が変化したもので、かつてはその花の汁で布を染めていました。平安時代以降の公家の普段着、狩衣(かりぎぬ)をコーディネートする際の組み合わせる色としても愛されてきました。藍の花色である二藍と、若葉の色の萌黄を重ねた杜若目(かきつばもく)と呼ばれるこの組み合わせは、この花が芽吹きと夏の訪れを感じさせてくれます。

杜若をモチーフにした最も有名な作品といえば、尾形光琳による国宝の《燕子花図》があげられます。この作品は江戸時代(18世紀)に描かれたもので、総金地の六曲一双屏風(ろっきょくいっそうびょうぶ)に、天然の群青と緑青の濃淡を用いて巧みに描かれている作品です。

こちらは東京にある根津美術館が所有しており、毎年5月ごろには同美術館の敷地内の庭園で生花の杜若を鑑賞したのち、光琳による同作品も鑑賞することができます。

(詳しくは「根津美術館」の公式ホームページをご覧ください。)



4.日本画をたのしもう 「ジョウビタキ編」

 

 

ジョウビタキは全長約14cmで、スズメと同じくらいの大きさの鳥です。アジア大陸東部で繁殖し、日本には冬鳥として渡来します。雑木林や畑、庭園などでよくみられ、昆虫、木の実を食べて暮らしています。

少し不思議な名前をしているこの鳥ですが、ジョウビタキの「ジョウ」は銀髪を意味しているとのこと(語源については諸説あるようです)。「ビタキ」はクチバシをカチカチと鳴らす音が火打石を打ちつける音に似ていることから、この名前が付けられているそうです。

 

この記事でご紹介したメジロ編も含めて、日本美術や日本画では花と鳥がひとつの作品に収められることが多々あります。

これは「花鳥画」という東洋の絵画様式で、中国の宋時代以後に画題として定着し、日本には室町時代から輸入されました。このジョウビタキ編もそのフォーマットに則り、いちょうの木の枝にとまるジョウビタキが描かれています。東京都内ですと、明治神宮外苑のいちょう並木は、11月から12月にかけての時期が見ごろです。

都内の一等地にも関わらず、このエリアは木々が生い茂って非常に自然が豊かなので、もしかしたらジョウビタキをはじめとする野鳥を見ることができるかもしれません。




始める時期の旬な図柄を選んでも良いでしょうし、ギフト用としてお誕生日月に合わせて購入されるのも良いでしょう。



5.初心者キット「桜編」「椿編」「朝顔編」「桔梗編」「寒牡丹編」

 

 

 

日本画をたのしもう」シリーズより少しお求めやすい、ビギナー向けのキットです。

同じようにぬり絵のように描くだけで、お部屋に飾れるようなハガキサイズ(15×10cm)の作品を2点制作することが可能です。セットに含まれる絵具はお花によって色の組み合わせが変わります。また、「日本画をたのしもう」セットと比べて色数や絵筆が少なくなっている分、お求めやすい価格になっています。

 

上記でご紹介したお花と同様のモチーフもございますが「椿」や「寒牡丹」など、「日本画をたのしもう」セットに含まれないものもあります。

椿の名画といえば速水御舟による《名樹散椿(めいじゅちりつばき)》。

牡丹は日本のみならず東洋美術でも愛されているモチーフで、霊獣の鳳凰(ほうおう)と組み合わせたりと極めて縁起の良い図柄とされています。

 

PIGMENT TOKYOではオリジナルのギフトカードもご用意しておりますので、大切な方への贈り物メッセージを添えてはいかがでしょうか。。

松、竹、梅の可愛らしい柄がレーザーカットされており、各々に富士山があしらわれた封筒が付いています。封筒にカードを入れると、カードの色がチラリと見えるようになっております。

 

 

オリジナルギフトカード3種類

 



ご自分用やギフトに、ナカガワ胡粉の「日本画をたのしもう」シリーズと「初心者キット」で、日本画をはじめてみてはいかがでしょうか。

日本画の絵具の作り方に関しては、こちらの動画もご参考にしてください。

https://pigment.tokyo/blogs/pigmentchannel/4

 



Profile

大矢 享

Art Materials Expert at PIGMENT TOKYO

AKIRA OYA

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.

Born in 1989 in Tokyo. Master of Fine Art and Design at Nihon University College of Art. While working at PIGMENT TOKYO as an Art Materials Expert, he also continues his career as a visual artist.